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8tips世界を駆ける経営

2020.08.07
世界を駆ける経営

~危機発生に伴う業界のチェンジ~ 深センEYE

~危機発生に伴う業界のチェンジ~ 深センEYE…

(写真=画像素材:PIXTA)

日本を含む世界各地に拡散し続けている新型コロナウイルスは、一気に業界のシャッフルと変化を加速している。

 

中国の場合、現時点でダメージを受けていると言われている業界は下記のとおりである。

1. 養殖業
2. 映画関連
3. 旅行業
4. 飲食業
5. ホテル業
6. 交通運輸業
7. 石油業界

 

一方、このような状況でも好調な業界もある。それは、

1. ショートムービー(TikTokのような)、ゲーム(オンラインゲームなど)
2. Eコマース
3. オンライン教育
4.「無人化」サービス
5. オンライン在宅勤務システム
6. 医療関連
7. 心理カウンセラー

 

特に、中国を代表しているIT大手のTencentのオンラインゲーム部門の売上は、新型コロナウイルスによりほとんどの中国人が自宅 待機とされた1月末から2月の間に、爆発的な増加を遂げた。Tencentの有名なオンラインゲームである「王者の栄耀」の2019年1月の売上は一ヶ月で70億元(約1,050億円)であるが、2020年1月の春節の大晦日一日だけで、売上が20億元人民元(約300 億円)を超えたとの予測が出ている。新型コロナウイルスの影響で 春節休みが延長され、外出活動が自粛されている期間が伸びた 2020年の春節期間はオンラインゲームにはまる若者達が増えた のも言わば必然である。もちろんTencent以外のオンラインゲーム会社の業績も合わせて好調だ。

 

教育関連においても学校と塾の教室が閉鎖されたため、オンライン授業が相次いで実施された。オンライン教育、オンライン会議などのシステム会社は速やかに社会の真の課題を理解し、その解決とともにバージョンアップも加速している。特に今年はたくさんのプラットフォームの機能が試される機会でもあった。例えば、学生がいる家庭では親は会社のオンライン会議に出席し、子供は学校と塾のオンライン授業に参加しないといけないので、社会全般のネットワーク環境及びプラットフォーム運営会社のサーバーはそれに応える必要があった。限られた家庭内のスペースで、在宅勤務の仕事の効率化とオンライン授業の集中度をあげることができるかなどの、一歩先に中国が経験した課題はきっとその他の国にも課題になると思われるので、今後の中国の動きに注目したい。

 

好調な業種で心理カウンセラーが上がってきているが、在宅ワークをしながら外出できない元気いっぱいな子供達と円満に過ごすことは本当に難しい。声を上げて叱っては後悔している大人達は心の底から心理カウンセラーを求めている。

 

大きな打撃を受けている飲食業界において、お店の再開ができ ないため、宅配サービスを口コミだけで展開して利益を上げた中華料理屋もある。メニューはたった一つ、中華肉まんに絞ったことにより、仕込み時間などを大幅に削減するなどの工夫をしたことが結果につながっている。ITとハードウェアサプライチェーンが集積されている深圳においては、 無人フードデリバリーが短期間でサービスを開始できるようになっている。写真のようにロボットがお弁当の配達をしている。イノベーションの街ならではのスピードである。

新型コロナウイルスではなくても毎年予測できない危機が発生しているので、その都度、新たなチャンスを得る業種が出ている。また、環境変化を敏感に察知して、迅速に方向転換をしないと生き残れない時代になっている。AIとIT技術で新型コロナウイルス対策に取り組んでいる中国企業の状況を、引き続き日本と共有していきたいと思う。

 

(執筆:姜 香花 唯来企業管理咨詢(深圳)有限公司【MICS】 副総経理)

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