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2022.03.18
世界を駆ける経営

【深圳レポート】元宇宙(メタバースMataverse)、中国テック企業の動向

【深圳レポート】元宇宙(メタバースMataverse)、中国テック企業の動向…

※本記事は、深圳イノベーションセンター(MICS)会員に限定配信している「MICS NEWS(vol.54)」に掲載されたものです。

 

2021年10月28日、Facebookは社名をMetaに変更し、メタバースに全面的に注力するとの発表は、世界各地の資本市場の注目を集めた。

過去20年間で、インターネットは人類の生活方式を一気に変え、人々のコミュニケーションをデジタル化している。20年前にインターネットの発展を正確に予測することが相当に難しかったように、将来のメタバースの形態について、今のところ正確に判断することは難しい。
ただ、これから先20年、メタバースによって人と社会の関係をデジタルに転換させることは、社会に奥深い影響を与えることは間違いない。

 

現在、世界の大手テック企業はメタバース関連産業を次々と展開しており、VR/AR、AI、クラウド、PUGCゲームプラットフォーム、デジタルヒューマンなどの分野における継続的かつ段階的な開発が期待されている。

中長期的には、メタバース関連の投資領域は、GPU、3Dグラフィックエンジン、クラウドコンピューティングとIDC、高速ワイヤレス通信、インターネットとゲーム会社プラットフォーム、デジタルツインシティ、産業メタバース、太陽エネルギーなどの持続可能エネルギーなどが含まれる見通しである。

ブルームバーグの業界調査によると、メタバース関連業務の市場規模は2024年に8000億米ドルに達し、2030年には1.5兆米ドルまで急速に拡大し、6年間でほぼ2倍の成長を実現すると予測されている。

Facebook使用禁止の中国であるが、直近メタバースに関する認知度と人気度は高く、漢字では「元宇宙」という表現を使っている。メタバースに対する中国テクノロジー企業のレイアウトはどうような形だろう?

メタバース領域で、ゲームは、独自の仮想シーンと仮想キャラクターを備えており、メタバースの原形になるため、メタバースの「入り口」の1つとみなされている。

今年の1月から10月まで、Tencentは直接または間接的に67ものゲーム会社に投資しており、平均4、5日に1社のスピードで投資を実施している。うち、最も高額な投資はTencentが今年1月に「メタバース第一株」と呼ばれるRoblox社のGラウンドの融資に参加し、約35億人民元(5.2億米ドル相当)を投資したことである。同時に、同社の中国の独占代理店の資格も取得した。

なお、Tencentは、「中国語版Roblox」と呼ばれる「代码乾坤」にも1億人民元(約17億円)相当を投資し、国内のVRゲーム会社VANIMALSにも出資している。

Tencentは、WeChatに関連した電子商取引、ゲーム、キャッシュレス、ライフサービスを含む完全なエコシステムを構築しているだけではなく、ゲームを中心にライブ配信、Eスポーツ関連を含む多くの製品ラインにも積極的な展開をしている。ゲーム分野での幅広い展開は、ゲーム産業自体がかなりの投資価値上昇の見込みがあるだけではなく、同時にゲーム産業を利用して事前にメタバース市場を掴もうとする狙いもあると分析されている。

仮想コンサート運営業者のWaveとVR映画会社のOriginal Forceに投資するなど、Tencentの幅広い産業レイアウトは、メタバースの重要な要素である次世代のインターネット領域での野心を覗くことができる。

 

中国において、メタバースという概念を一気にヒットさせたのは、今年の8月にByteDanceが15億米ドルでVR設備で有名なPicoを買収する可能性があるというニュースであった。

ByteDanceにとっては斬新な領域の高額投資であったため、「元宇宙」というキーワードがついに中国国内でデビューし、テクノロジーと投資分野で注目を集めることになった。

ByteDanceは強力なコンテンツ運営能力があり、写真や文字、ショートビデオなど、これまでに構築されているプラットフォームを利用して、新興のVRプラットフォームに進出する準備をしている。

なお、ByteDance はAR/ VRテクノロジーに対して更に注力している。元Appleのシニアエンジニアである李暁凱は、今年7月にByteDance新石ラボに加入し、主に光学ディスプレイ関連での技術研究開発とチーム構築を担当している。

ITJUZIのデータによると、2021年9月8日、ByteDanceは数千万米ドルの融資額でRiVAIに投資をしている。このRiVAIは、IoTコアプロセッサを提供するチップ会社である。その主力製品は、ウェアラブルデバイス、スマートホーム、スマートセキュリティなどのさまざまな場面に適用している。RiVAIへの投資は高額で買収したPicoにプラットフォームを提供することにあるとされ、Bytedanceがメタバースをレイアウトするための重要な一歩と見られている。

その他テック企業:プラットフォームの優位性に依存して、独自のメタバースを徐々に構築

 

現在、メタバースに関連するVR/AR産業は、投資家が注目する一大サーキットになっている。

今年の6月から7月だけで、27回のAR/VR関連の投資・合併と買収があった。同様に、VR/AR機器の出荷数も大幅に増加している。tuoluo研究院のレポートによると、2020年の世界のVRヘッドマウントディスプレイの出荷数は72%増の670万台に達した。ARメガネの出荷数は33%増の40万台だった。2022年までに、VR/ARの世界出荷数はそれぞれ1800万台/140万台に達すると推測されている。

BaiduはVR/ARに多くのリソースを投入している。Baidu ARラボとVRラボだけでなく、VRコンテンツプラットフォームとVRインタラクティブプラットフォームも派生した。Baidu Brain、Baidu Smart Cloud、Baidu Maps、およびリサーチサービスなどの能力は、メタバースの到来のための技術的基盤を築き、メタバースの「インフラストラクチャ」を準備をすることになる。

Alibabaは今年の10月、メタバースの波を利用して、ダモー・アカデミー研究所の支援を受けてXRラボを設立し、李宏華、譚雄、施家棟などの専門家チームを招集するなどの動きを見せている。

「メタバース」ブームと言っていいこの時期に、Tencent、ByteDance、Baiduなど、中国の世界的大手企業は、次世代のインターネットが仮想現実分野に関わることをすでに想定しており、徐々に事業の方向性を調整し始めており、独自の優位性からレイアウトを始めている。

 

サイエンスフィクションの世界での未知の空間に対して、このサーキットにいる一部のプレーヤーは、話題性を利用して自分の会社により多くの新しい血液をもたらし、一部のプレーヤーは、次世代のインターネットのためにこっそりと準備するなど、企業の基盤を新たに創造して再び先導者になりたいに違いない。

 

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