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2022.04.26
世界を駆ける経営

ジェンダー平等違反の罰金引き上げへ

ジェンダー平等違反の罰金引き上げへ…

ベトナム政府は2022年1月1日よりジェンダー平等に関する違反行為の処分を規定する政令を施行した。これは既に2009年に公布及び施行されている同処分の規定を一新したもので、従来の罰金額と比べ大幅に引き上げられたものになる。例えば、家族が収入を生む活動を行う際、性別を理由にこれを阻害する行為に対し、300万~500万VND(約1万5200円~2万5400円)の罰金を科すと規定している。ベトナムでは社会問題としてジェンダー平等が取り上げられることが多いが、今回の罰金額の引き上げで更なる意識の底上げを図ったと考えられる。ただ、まだまだベトナムではこのジェンダー平等については課題が多い。事実、ベトナム労働法では、男女平等を明確に規定しているにもかかわらず、男女の定年年齢には差が設けられており、2022年現時点では男性は60歳6か月、女性は55歳8か月と定められている。毎年数か月延長され、最終的には男性が62歳、女性が60歳となるが、それでも男女の定年年齢の差が埋まることはない。

世界経済フォーラム(WEF)によって2021年に公表された「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数(The Global Gender Gap Index=GGGI)」によれば、ベトナムは0.701ポイントで156か国中87位となり、前回2020年の順位から変化は無く、高い水準とは言えない現状が続いている。同調査は多岐に渡る項目から男女社会的格差を測っており、項目によってはベトナムは高水準のものもある。例えば、「専門・技術労働者」の項目では2016年では世界一位となっており、具体的には男女比では男性46に対し、女性54となっていた。また「推定所得」の項目では、PPP(購買力平価)ベースの1人当たり所得が男性が6,173USドルのところ、女性は5,097USドルと、男性の方が多いものの、その差は1,000USドル程度にとどまっている。「労働参加率」の項目でも男性が86%、女性が79%と男女ともに高水準にある。ベトナムでは共稼ぎが一般的で、男女の別なく就労を続ける傾向が強いため、それが女性の高い労働参加率として表れていると考えられる。では、総合的に順位を引き下げている項目は何なのか。結論を挙げれば「議員・政府高官・管理職」、である。これは「議員・政府高官・管理職」における男女の比率を指しており、ベトナムでは圧倒的に男性比率が高い。おおよそ9割方男性というデータも出ている。これらの数字から、ベトナムでは女性の大半が就労をしており、同時に現金収入を得て経済的な貢献を果たしているにもかかわらず、高い地位についている女性がごく限定されているということがわかる。ベトナムは女性が強い国と言われることが多い。SDGsのGoalにも掲げられ、国際社会ではもはやトレンドとも言えるジェンダー平等であるが、ベトナムにおいて、本当の意味で女性が活躍する国になれるかどうか、それは今後の動向次第となりそうである。

 

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