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2022.04.26
世界を駆ける経営

ベトナムのいまとみらい <第5回> 女性がたくましい国ベトナム

ベトナムのいまとみらい <第5回> 女性がたくましい国ベトナム…

日本よりもひと足お先に、ハノイに刻々と厳しい夏が近づいております。ハノイの夏は東京よりも厳しい暑さと聞いているので暑さ対策は必須ですが、同時に湿気対策も欠かせません。日本人は家具付きアパートに住むことが多いのですが、夏になると家具にカビが生えるというのはよくあるらしいので、私も気を付けたいと思います。

 

さて、ベトナムにも日本と同様に多くのイベントがありますが、3月8日には国際女性DAYという一大イベントがありました。日本にいると馴染みが薄いかもしれませんが、海外諸国ではとてもメジャーな記念日になります。元々は女性の参政権を求めるプロパガンダ運動の一環として始まったものだそうですが、今は世界で働く女性や奥様・パートナーに感謝や賛辞を伝える日として広く認知されており、ベトナムでは1年に3つある、女性にまつわる記念日の1つとして、毎年多くのメディアで取り上げられています。ちなみに残りの2つは、2月14日のバレンタインデーと10月20日のベトナム女性の日になります。

ジェンダー平等の記事にも関連しますが、皆さんはベトナムで女性が担う社会上の役割はどの程度大きいものだと思われるでしょうか。人材紹介会社にどのような人を採用したらいいか、と聞くと「優秀な女性をまず採用した方がよい」と言われます。ベトナム人女性はとても優秀で、真面目かつ勤勉な人が多いと聞いていましたが、それを裏付けるようでした。もちろん、ベトナム人男性がそうではない、と言っているわけではありません。ただ、実際この数か月、日系企業を中心に企業や工場、街の商店等を見てきましたが、実務を中心的に回しているのは圧倒的に女性が多い印象です。特にホワイトカラーの職種については女性を採用したがる傾向にあるのかもしれませんが、この背景には何があるのでしょうか。

もちろん明確な根拠やデータはありませんのであくまで憶測でしかありませんが、国家の政策が関連しているような気がします。ベトナムでは1986年にドイモイ(刷新)政策の名のもと、市場経済への移行を明確に掲げてきました。中国でいう改革開放と同等の転換点となります。当時今よりも更に経済水準が低かったベトナムにおいて、高い経済成長を実現する為には、それまでの家父長制による父親(夫)が仕事をしてお金を稼ぎ、女性(妻)は家を守るという価値観を捨て、家族で稼げる人は皆が協力し、経済活動を回していくこと(=家族全員で国家に貢献すること)に価値観の重きが置かれたのではないかと考えています。

このような背景からか、ベトナムでは女性が子育てをしながら働くことはいたって普通の光景です。専業主婦という選択肢はほとんどなく、両親共働き、なかでも女性は子育てをしながら、家計の切り盛りもおこないつつ、時には両親の介護もしながら企業に勤め、または家族経営の商店で働いているのです。ドイモイ政策により性別役割業務というものをなくしたベトナムでしたが、逆に女性の役割が想定外に増えた結果、今のような図式になったのではないか、と推測しています。ベトナムでは夫婦のことをvợ chồngと書くことがありますが、vợは妻、chồngは夫です。日本語とは逆で、妻を先に書くことからも女性と男性の力関係を感じますし、結婚の挨拶をする時は相手の母親の了承をまず取らないと先に進めないといった話もあります。いかにベトナム社会で女性が重要な役割を果たしてきたかが分かるかと思います。そして今後においてもこの男女の力関係は続くのではないでしょうか。

 

現在ベトナムは入国規制が実質無くなり、多くの日系企業のこれまでできなかった新規進出が加速しています。その際、現地従業員を雇用する機会がくると思いますが、女性をいかにうまく活かし、長く働いてもらえるか、が成功の鍵になるかもしれません。またこれは当然ですが、男女で賃金等の待遇に差を設けることは違法となりますのでご注意いただければと思います。

 

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