みらい経営者 ONLINE

経営課題の発見・解決に役立つ情報サイト

みらい経営者 ONLINE

  1. 世界を駆ける経営
  2. ベトナムのいまとみらい <第4回> 「ホーチミンとハノイどちらがお好みですか?」

8tips世界を駆ける経営

2022.03.08
世界を駆ける経営

ベトナムのいまとみらい <第4回> 「ホーチミンとハノイどちらがお好みですか?」

ベトナムのいまとみらい <第4回> 「ホーチミンとハノイどちらがお好みですか?」…

テトも明けてベトナムでは新しい一年が始まりました。私は、もともとの計画通り、2月に生活の拠点をホーチミンからハノイに移しました。

両方を体験された方はおわかりだと思いますが、ベトナムは面白い国で、南のホーチミンと北のハノイではとても同じ国とは思えない程の違いがあります。初めて日系企業がベトナムに進出を考える際、真っ先に考えなくてはいけないのがホーチミンに拠点を持つかハノイに拠点を持つかの究極の2択になります。ベトナムに初めて旅行に来る際も同様でしょう。今回はこの両者の違いをここ数か月で得た知見から紹介したいと思います。

 

 まず気候です。南部ホーチミンは常夏の都市である一方、北部ハノイはベトナムで唯一四季があると言われており、夏は猛烈に暑く、冬はとても寒いことで有名です。ハノイでは街行く人々のダウンジャケットの着用率の高さに驚きました。私は割と寒さに強く、日本では真冬でもコートを着ないので、ハノイの寒さはたいしたことはないと思いましたが、ベトナム人からしたらハノイの冬は極寒のようです。雨季と乾季があるのは両者共通です。

ホーチミンは青空が広がり、からっとした天気が多いですが、ハノイはどんよりとした曇り空が多いのも大きな違いでしょうか。ハノイは大気汚染が深刻でWHOの基準値を上回る大気汚染を記録しています。大気汚染の程度を示す空気質指数(AQI)においてハノイ市がインドネシア・ジャカルタを抜いて世界1位となったのは2019年のことです。ホーチミンもけっして空気がきれいなわけではないですが、ハノイのちょっと残念なポイントです。

 

 次に食事。意外に思われるかもしれませんがベトナム料理の代表格とも言える「フォー」・「ブンチャー」等は北部の料理になります。北部の味付けは日本人好みの味が濃くて塩味が効いた味付けと言われていますが、中国に近いことも関係しているのかもしれません。一方南部は「バインセオ」・「生春巻き」等で有名ですが、味付けはあっさり、もしくは甘い味付けが多いと言われています。東南アジアテイストという感じでしょうか。ちなみに私はどちらかといえば北部料理の方が好きです。価格はどちらも同じ位で、飲食における物価に大きな差は無いかなというのが印象です。

 

 次に日本からの進出企業についてですが、比較的ホーチミンは都市が狭く、経済中心と言われていることからも個人による商業(サービス業)が多く、一方ハノイはある程度規模の大きい企業の進出、特に製造業が多い、という印象です。ハノイは中国に近く、物流面等のメリットがあるのも関連しているのかもしれません。人件費は特段南北で変わらず、ハノイでもホーチミンでもホワイトカラー人材は豊富です。ただし、日本語話者は日系企業で取り合いになるので自然と人件費も高額になります。日本語堪能(N1水準)な人を採用したければ、たとえ20代の若者であっても1300~1500USD/月程度は想定しておく必要があると言われています。もし、ここをもう少し低く抑えたいのであれば英語話者の選択肢になるでしょう。

 

 最も重要な違いをお伝えしましょう。それは「言葉」です。ベトナム語なら同じではないかと思うかもしれませんが、ホーチミンで話される南部弁とハノイで話される北部弁とでは全く違います。日本でも東京の言葉と関西では単語や話し方に違いがあることもありますが、日本語では東京も大阪も同じ「あ」の文字であれば発音は皆が知るあの「あ」の発音になります。ところが、ベトナムでは同じ文字であったとしても、北部と南部では発音が全く変わってくるので、いわば違う国の言語のようになってしまうのです。ベトナムに来る前に、ベトナム語を北部の発音で少し習ってきましたが、早速ホーチミンでその成果を出そうとしたところ、伝わらないどころか「北部の話し方でしょ?こっちでは嫌われるからやめた方が良いよ」とまで言われました。ホーチミンではあの伝統衣装のアオザイ(Áo dài)を「アオザイ」と言わずに「アオヤイ」と発音しないとよそ者認定されてしまう世界なのです。

 

このように言葉の違いもさることながら、人々の性格や気質にも違いがあるとよく言われています。代表的なのは、「ホーチミンの人はおおらかで打ち解けやすく、楽観的」、「ハノイの人は勤勉で計算高く、打ち解けるまでの敷居が高い」等です。もちろん個人差があるのでひとくくりには言えませんが、あながち間違ってはいないかなと感じています。この性格や気質の差はどこから来るものなのでしょうか。常に温暖で食料を確保できてきた地域とそうでない地域の環境差によるものなのか、それとも南北が分断された歴史背景によるものなのか、いずれにしてもベトナムという国が面白い国であるところは変わりません。仕事や遊びで来られる際は、是非南北の違いにも注目しながら、ベトナム体験を楽しんでいただければと思っています。

 

【関連記事】

バイク販売台数3年連続で減少

在宅介護サービスのツクイ、高齢化が進むベトナムで現地法人を設立

ホーチミンの2021年の観光収入、前年比▲48%減

ベトナムのいまとみらい <第3回> 人気急上昇中!?シェアサイクル

PREV
ホーチミンの2021年の観光収入、前年比▲48%
NEXT
在宅介護サービスのツクイ、高齢化が進むベトナムで…

ページトップへ