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2022.03.08
世界を駆ける経営

在宅介護サービスのツクイ、高齢化が進むベトナムで現地法人を設立

在宅介護サービスのツクイ、高齢化が進むベトナムで現地法人を設立…

ベトナムでは現在高齢化が急速に進んでいる。既に2017年にはいわゆる「高齢化社会」(高齢化率7%以上)に突入しており、さらに2034年までには「高齢社会」(高齢化率14%以上)に移行すると予測されている。若い労働力が多いとよくいわれるベトナムだが、高齢化の進む早さはかつての日本のそれを超えており、高齢化に所得水準の上昇が追い付かないことが、今後の社会的課題として挙げられる。

さて、ベトナムでは年老いた両親の面倒は同居または近くに住む子供達がみることが当たり前の美徳とされてきたが、近年、経済成長と共に核家族も増えており、親の面倒をみられない子供達も多くなり、専門の介護サービス業者に親の介護を依頼するケースが増えてきている。

そんなベトナムの介護業界は、日系の株式会社桜梅桃里(岡山)がローカル企業と合弁で設立したJapan Lotus Co., Ltd(2016年設立)が既にあるものの、他は全てローカル企業となっている。そんななか、日系企業である株式会社ツクイ(本社:神奈川県横浜市港南区)がベトナムに現地法人を設立したことによって、新たな日系企業が参入した構図となった。

 

株式会社ツクイは、日本全国で500か所を超えるデイサービス事業所を持ち、在宅介護や有料老人ホーム、人材派遣などの介護事業を行う業界トップクラスの日系介護サービス会社であるが、2022年1月11日、ホーチミン駐在員事務所を現地法人化し、100%子会社のツクイプランベトナム(TSUKUI PLAN VIETNAM)」をホーチミン市3区に設立した。当該現地法人の資本金は10億VND(約500万円)とされ、管理コンサルティングも手掛ける。また、株式会社ツクイはベトナムから多くの技能実習生を受け入れているのも特徴の1つであり、2019年に受け入れを開始して以降、現在18か所の同社有料老人ホームで36人のベトナム人実習生が実習を受けているとされている。

また、神奈川本社の海外人財部を中心に、既に受け入れている技能実習生のフォローを行うとともに、ホーチミン駐在員事務所では、日本の先進的と言われる介護技術を学び、将来自分の親の介護や自身のキャリアアップに活用したいという若者層をターゲットにした介護講座を開催するなど、新たな実習生の受け入れ準備も進めてきた。

 

今回の駐在員事務所の現地法人化は、日本で介護技術を学んできた技能実習生がベトナムに帰国した後の働き口としても活用できることを期待したものと考えられ、同社の人財を日本・ベトナム双方向に活用した事業活動強化・拡大を見据えた決定といえよう。

 

日本流の介護技術がどれだけベトナムで受け入れられるのかは今後に注目だが、このような介護の例は、世界でもいち早く経済成長を遂げて、多くの課題に直面してきた日本だからこそ、より付加価値の高い課題解決方法を多くの国に提供できる機会があることを示している。コロナ禍も落ち着いてきて、今回のような日系企業のさらなる挑戦によって、より付加価値の高いサービス提供やそれぞれのサービス利用者の選択肢の増加が一層期待されている。

 

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