8tips世界を駆ける経営
バイク販売台数3年連続で減少
ベトナムバイクメーカー協会(VAMM)から、ベトナム国内における2021年のバイク販売台数は前年比8.1%減の約250万台という発表があった。(国外への輸出台数を含まず、国内市場のみでの販売台数)
人々の移動インフラとして、切っても切り離せないバイクだが、意外にも国内販売台数はこれで3年連続での減少となっており、直近のピークは2018年、通年の販売台数は338万6097台と公表されている。ちなみに、VAMMには、ホンダベトナム(HVN)、ピアジオ・ベトナム(Piaggio Vietnam)、ベトナムスズキ(Vietnam Suzuki)、三陽工業(SYM)ベトナム、ヤマハモーターベトナム(YMVN)の大手5社が加盟しており、当該5社でベトナムバイク市場のシェアの大部分を占めている。その中でもHVNのシェアは圧倒的で約8割を占めているが、これは前年とほぼ変わらず、ホンダ製品の人気の高さがうかがえる。
販売台数が減少した要因としては、まず、感染症の影響により在宅時間が増えたことで、移動そのものの需要が減退したことが挙げられる。特にホーチミン市ではロックダウンを敢行した2021年7〜9月において、多くのバイク販売店が営業をいっせいに停止した。同期間の販売台数は前年同期比45.84%減の36万7037台であり、四半期として過去最低値を記録したとされている。
感染症の影響以外の要因はどうだろうか。
2017年の国家交通安全委員会の公表によると、ベトナム全土の登録バイク台数は約4800万台で、当時の人口9400万人からすると既に2人に1人がバイクを保持していることがわかる。ちなみにベトナムでは18歳以上でないとバイクに乗れないため、実際はもっと割合は高く、ベトナム国内のバイク市場そのものが既に飽和状態に達していることがわかる。
これに追い打ちをかけているのが、自動車の台頭である。2019年の自動車登録車数は約400万台と日本の20分の1にも満たない水準だが、それでも前年比で10%を超える増加率を見せている。自動車保有台数の急激な増加(モータリゼーション)はその国の一人あたりGDPが3000$を超えたときから起こり始めるという見方が自動車業界ではよくされるが、ベトナムでは一人当たりGDPは2021年で3700$となっており、十分自動車が広く普及してもおかしくない経済水準に達している。実際には道路の舗装や渋滞の問題で、経済水準以外に自動車購入に踏み出せない要因があるのかもしれないが、それでも自動車は今後需要を延ばす可能性がおおいにあるとみてよいだろう。
さらに、ハノイ市では都市鉄道、ホーチミン市ではレンタサイクルといった新しい移動手段も増えてきている上に、エネルギー価格の高騰といった逆風が吹き付けるなか、バイク業界がどのような巻き返しを狙うのか、今後の動向について引き続き注目していきたい。
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