8tips最大効率の経営
持株会社体制への移行の目的
最近、中堅中小企業でも「ホールディングス(持株会社)体制に移行します」というプレスリリースを多く目にします。実は、持株会社体制への移行については、以下のような声をよく耳にします。
「持株会社化って本当は何の意味があるのですか?」
「何か効果があるのですか?」
「相続対策、と聞いたことがあるけど、何のためにやるのですか?」
そこで、ここでは、「世の中の企業がなぜ持株会社したのか」を、上場会社が持株会社へ移行する目的を参考に、検証してみました。
権限と責任の明確化:
各事業グループを統括する「持株会社」と本業を集中的に行う「事業会社」、それぞれの権限と責任を明確に分けることで、事業会社の意思決定を迅速化するため。そこには、もちろん、株主への対応は持株会社へ、事業遂行は事業会社に明確に役割を分ける、という意図も含まれます。
次世代経営者の育成:
事業会社代表ポストにプロパー幹部を登用し、代表を任せるため。
M&Aの推進:
将来に向けた経営統合の準備(合併や共同出資等)のため。
経営資源の効率化:
インフラとしてのグループ全体の経営資源(人・モノ・金・情報等)を適切な事業会社に再配分を行い、経営全体の効率化を図るため。
グループシナジーの最大化:
各グループ会社の顧客基盤や取り扱い商品等、マーケットリソースを活かした販売シナジー(セールスミックス等)、各グループ会社のバックオフィス機能やシステム環境の集中統合による省力化によるコストシナジー等を得るため。
上場会社において持株会社化を検討されているほとんどが、いまある会社の組織の体制をどのように見直し、既存の複数事業や複数のグループ関係会社の経営資源(チカラ)をどのように活用していくか、といったことが目的となっています。
このようにみてみると、持株会社化の効果は間接業務の統合といった短期的に見えるものもありますが、特に「定量的な評価」が中長期的にはわかりづらく、効果測定が困難であるといっても過言ではないように考えます。
持株会社体制を目指す価値
それでも、持株会社体制を目指す価値があるのでしょうか?
もしかしたら、持株会社化以外の方法で、想い描く将来の姿にへの最短距離があるかもしれません。持株会社化を行い、その効果がでるかどうかは、「ありたいに近づくものかどうか、その選択肢として正しいかどうか」を議論する必要があると考えます。
よく「持株会社化は1~2か月もあればできるでしょう。」という話をお聞きします。たしかに、持株会社体制の基本は出資関係を組み替えることですので、法的な手続きを実行するだけなら急ピッチで進めることができます。正直なところ、最短で2~3か月もあれば可能です。
ですが、本当に意味のある持株会社化をするには、「どうありたいか?」の検討は不可欠です。検討する期間としては、短くても半年、できれば1年程度は必要だと思いますので、急速な変革スピードが求められる今のご時世の中、準備期間が足りずに、結果として目的に対して異なる手段を選択してしまったということにならないよう、ご留意いただきたいと思います。
持株会社化に向けて、法的な対応やリスク把握を専門家とおこなうこともあるかと思いますが、上記のような「そもそもどうあるべきなのか」についても、外部専門家の意見を求めることも有効なのではないでしょうか。
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