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小さいのに大企業!?補助金・助成金の申請で知っておきたい企業規模
助成金や補助金の申請をしてみたい……そう思っている中小企業の方々は多数いるはずです。そこでいざ助成金・補助金の募集要件に目を通してみると、そこには大抵、企業規模についても記されています。従業員はもちろん、会社の経営者や役員の方々の中にも、自社が中小企業なのか、小規模企業なのか、はたまた大企業なのか、何に該当するのか、など正確にわかっていない方が少なくありません。
助成金・補助金を申請するにあたってこれは問題です。そこで本稿ではいまさら聞きにくい、規模による企業分類の定義についてご紹介します。
企業を規模で分けるそのわけは?
一口に企業といってもその規模はさまざまです。数千億円の資本金を持っている企業もあれば、資本金10万円以下の企業もたくさんあります。同様に、数万人の従業員が在籍する会社もあれば、代表取締役一人が在籍しているだけの会社も無数にあります。
世界に影響を与えているような名だたる企業も、街の片隅で、家族でのんびりやっている企業も、企業という名目の下、同じ扱いになってしまいます。そこで国は、何かしらの基準を設けることで、助成金・補助金、また統計や税務など、さまざまな政策のために企業規模を分類することにしたのです。
ただし、企業分類は統一した基準があるわけではありません。中小企業庁が定めている基準はあくまでも原則であり、各種法律や助成金・補助金の募集要項などによって企業規模の分類が異なる点は知っておく必要があります。
大企業は存在しない!?
誰もが知っている大企業といっても、実は「大企業」という定義は存在しません。国は中小企業について原則的な定義を決めているだけで、そこに当てはまらない企業を大企業に分類しているのです。分類は資本金や従業員数を軸に分けられており、業種によっても基準が違っています。例えば、厚生労働省や経済産業省が助成金・補助金の支給要件では、中小企業基本法に則って中小企業を定義しており、業種ごとに資本金や従業員数の範囲が異なっています。
(図表=中小企業の範囲 中小企業庁より引用)
中小企業庁の定める基準において、従業員とは「常時使用する労働者」と表記されています。これは「2ヵ月以上勤務」かつ「週当たりの所定労働時間が正社員とほぼ同等」であるならば「常時使用する労働者」と表しているため、フルタイムのパートやアルバイトが従業員として含まれています。厚生労働省や経済産業省などの助成金・補助金では、上記の定義を採用しているケースが多数ですが、必ずしも全てではありません。
例えば、厚生労働省の「中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金」の場合は、「常時雇用する労働者数が300人以下」の企業を中小企業としています。また、小規模企業について、商工会および商工会議所による小規模企業の支援に関する法律を含む3つの法律においては、「政令によって宿泊業および娯楽業を営む従業員20人以下の事業者」を「小規模企業」の範囲としています。
このように法律や制度によって企業規模の分類範囲が一致しておらず、助成金・補助金の公募先やその目的によって企業規模の分類も、それによる応募条件も異なります。
小さいのに大手企業?みなし大企業とは
従業員数が少なく、資本金も多くないからといって必ずしも中小企業に当てはまるとは限りません。大企業の子会社である場合、中小企業基本法の条件に当てはまったとしても大企業のコントロール下にあるため、実質大企業とみなされる「みなし大企業」として扱われることがあります。
みなし大企業になると助成金・補助金は受けられないのか
「みなし大企業」は、補助金や助成金の募集要件で目にすることがあります。例えば、中小企業の自社開発支援を目的とした助成金・補助金は、企業規模が小さくとも親会社である大企業が関与できるため、支援目的に合致しません。そのため、募集要件では「みなし大企業は除く」と記述されているケースがあるのです。
ただし、大企業の子会社であるからといって、必ずしもみなし大企業に分類されるとは限りません。また、みなし大企業に分類されても助成金・補助金が受けられないとも限りません。要件によって企業分類や条件が異なりますので、申請が可能なものもあります。助成金・補助金申請の際、まずは要件内容をしっかり確認することが重要です。
分類はさまざま。不明なときには問い合わせを
企業規模に一元的な基準はなく、目的によって基準が変わります。「みなし大企業」のように目的によっては企業分類自体が異なるケースもあり、助成金・補助金の募集要件の詳細をよく確認することが必要です。どうしてもわかりにくいときには勝手な判断をせず、申請先に連絡して条件を確認するようにしましょう。
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