Regional Transformation地域創生
2022.10.28
地域の魅力×企業の得意分野=地域経済の活性化
皆さんは美瑛(びえい)町という町をご存知でしょうか?
北海道のほぼ中央に位置し、人口は令和4年3月で約9,600人、面積は676.78k㎡と東京23区の広さに匹敵します。私は幼少期に約15年間過ごしましたが、とても美しい北海道の町です。
この美瑛町は別名「丘のまち」と言われるように丘陵地帯が多く、この丘陵では町の基幹産業である畑作農業が行われています。作物の生育状況により、畑ごとに鮮やかな色彩を発することから、「パッチワークの丘」という名称がつけられるほど風光明媚な美瑛町は、世界中の観光客を楽しませています。最近では某世界的企業に「壁紙」として採用された「青い池」も美瑛町にあります。ご存知の方も多いのではないでしょうか。
美瑛町では、観光だけではなく、企業誘致活動も積極的におこなっており、美瑛町内で起業する事業者や、中心エリアの空き店舗の活用に取り組む事業者への補助金制度もあります。国の支援・北海道の支援・美瑛町の支援を活用し、町内の企業が活性化しやすい体制が整備されています。
この美瑛町に2022年7月、藍の魅力を発信する文化複合施設「藍染結の杜(あいぞめゆいのもり)」がオープンしました。運営しているのは、美瑛町のお隣り、旭川市に本社を置く、株式会社水野染工場さまです。もともとは日本の伝統的な工芸技術「印染め」で大漁旗やのれん、よさこいソーランの衣装などを、日本中・世界中に発信してこられた企業です。地域未来牽引企業にも選定され、当グループでもご支援をさせていただいています。
今回オープンした「藍染結の杜」では、藍自体の栽培からおこない、最終的に藍染の衣服やカバンなどの藍染製品を販売しているほか、藍染の体験施設やカフェも併設しており、藍の魅力をさまざまな視点から体感できる施設することができます。
先日、休暇を利用して訪問する機会がありましたので、その時の体験と気付きを共有させていただきます。
私は藍染体験をさせていただきましたが、あの鮮やかな黄緑色の植物である藍が、少しずつ藍色に変わる過程を目で楽しむことができ、藍染の不思議に触れることが出来ました。
藍染体験施設では、各自の好みの布にさまざまな絞り方で模様をつけ、その日気候によって発色が変わる染料によって、世界で一つのオリジナルの藍染アイテムが作成することができます。藍染したアイテムは乾燥させるため、一時的に施設の外に干したのですが、自分が制作したものが美瑛町の大自然の中に置かれている景色はなんとも愛おしく、贅沢なひとときでした。モノ体験、コト体験、トキ体験、すべてがそろった施設といっても過言ではないと感じました。
北海道内では少子高齢化と都市圏への人口集中も進み、過疎地域が増えています。自治体だけの努力では地域の活性化は厳しい状況にあるのではないでしょうか。
この株式会社水野染工場さまのように、地域の魅力(美瑛という世界的観光地)と企業の得意分野(染物)を掛け合わせた新しい事業を推進することで、最高の体験価値を消費者に提供するだけではなく、地域経済の活性化に貢献することができるのだと思います。
私たちも北海道地域創生プラットフォームの取り組みを通じ、北海道各地の地域の特色や魅力を理解し再発掘するだけではなく、その地域が持つ魅力に、個々ができること・企業ができることを掛け合わせ、北海道経済の活性化に寄与していきたいと思います。
藍染結の杜(あいぞめゆいのもり)
株式会社水野染工場
NHKニュース 「藍染結の杜」 藍染めのテーマパーク 美瑛町でオープン
<執筆者>
北海道地域創生プラットフォーム株式会社(HPR2)
山下雅子
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