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  1. 【川越市長インタビュー前編】市制100周年を迎えた川越市の魅力とそのあゆみ

Regional Transformation地域創生

2024.02.28

【川越市長インタビュー前編】市制100周年を迎えた川越市の魅力とそのあゆみ

埼玉県の中央部よりやや南部に位置する人口35万人超の都市、2022年に「市制施行100周年」を迎えた「埼玉県川越市」の持続可能な地域創生のあり方を学ぶべく、川合善明市長にお話をお伺いしました。インタビュー前編では、4期にわたり市長を務められている川合市長から見た川越市の魅力とそのあゆみをご紹介します。

Q1:さっそくですが、川合市長が考える川越市の魅力と川越市のあゆみを教えてください。

川合市長:川越市は古くから地域の中心として栄えてきました。江戸時代には、江戸の北の守りとして重要視され、「知恵伊豆」と称された松平信綱ら親藩・譜代大名がこの地を治めるとともに、城下町は領内の農産物や特産品、そして、江戸からの物資の集散地として発展していきました。

1922年には埼玉県内で初めて市制が施行され、2022年12月には「市制施行100周年」を迎えました。都心から30キロメートルの首都圏に位置するベッドタウンの性質を持ちながらも、「小江戸川越」と呼ばれる歴史と伝統を残す個性的な街並みが市の魅力であると考えています。

一方で、産業面におけるバランスの良さも魅力の一つです。工業では年間製造品出荷額等が県内第4位(2020年)、農業では販売農家数が県内第6位(2020年)、商業では年間売上げ県内第4位(2021年)となっており、観光地としても年間約551万人(2022年)の観光客が訪れます。

Q2:2009年から4期にわたり川越市長を務められていますが、印象的だった出来事を教えてください。

川合市長:自分の残りの人生を生まれ育った町のために使いたい、という想いで59歳で市長に立候補しました。市長を務めていく中で印象的だった出来事というと、うまくいかなかったことが真っ先に頭に浮かんできてしまいますが(笑)、嬉しかった出来事としては、2016年に「川越氷川祭の山車行事」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことが印象に残っています。

また、川越市、所沢市、ふじみ野市、三芳町、埼玉県川越農林振興センター、いるま野農業協同組合で構成される「武蔵野の落ち葉堆肥農法世界農業遺産推進協議会」がFAO(国際連合食糧農業機関)に世界農業遺産認定申請書を提出し、2023年7月に「武蔵野の落ち葉堆肥農法」世界農業遺産に認定されたことも、大変誇らしい出来事です。

私自身が注力してきた取組みとしては、川越市の待機児童0を掲げ、約10年で保育園の定員数を約3,000人増やし、2021年に待機児童を7人にまで減らすことができたことです。その後も待機児童を1桁台に抑えられていますから、10年かかりましたが、目標をおおむね達成することができてよかったと思っています。

 

Q3:地元企業と連携した取組みはありますか?

川合市長:川越市では、民間の創意工夫やノウハウを市の活性化に役立ててもらう取組みをしています。例えば、「川越一番街商店街」は川越市の観光のメッカとなっていますが、その南の方に1875年に創業した旧鏡山酒造の建築物を改装した川越市産業観光館「小江戸蔵里」があり、その運営を民間企業にお願いしています。

また、「小江戸蔵里」から川越一番街に向かったところに位置する「旧川越織物市場」は、明治後期に建設され、2005年に川越市の有形文化財に指定されていますが、現在、クリエイター等の創業や新たなビジネスを創出する活動を支援する文化創造インキュベーション施設として活用するための改築をおこなっています。こちらも運営支援してくれる団体を民間から決定しています。インキュベーション施設への入居者の募集など、2024年4月からの開設に向けて準備を進めているところです。

川越一番街の周辺に地元企業と賑わいをつくっていくことが市の更なる発展に繋がると考えています。

あたらしく感じた川越の魅力

インタビュー後、川越市長に教えていただいた観光名所や公共施設に足を運びました。小江戸の赴きある街並み、発展した市街地、静かな田園風景と景色が移り変わっていく様子が感じられ、川越市の持つさまざまな魅力を体感出来たことが印象的でした。市制移行100周年の歴史と伝統の重みを感じながらも、更なる挑戦を続ける川越市の課題と今後のビジョンについてはインタビュー後編でお伝えしたいと思います。

 

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<執筆者>

未来ラボさいたま

青野 貴宣

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