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  1. 【川越市長インタビュー後編】この先100年後も選ばれる市であるために

Regional Transformation地域創生

2024.03.13

【川越市長インタビュー後編】この先100年後も選ばれる市であるために

2022年に「市制施行100周年」を迎えた「埼玉県川越市」の持続可能な地域創生のあり方を学ぶべく、川合善明川越市長にお話をお伺いすることができました。後編では、4期にわたり川越市長を務められている川合市長からみた、川越市の「産業振興」における課題とこれからの市のビジョンをご紹介します。

※前編はこちら

Q4:川越市が「産業振興」として、重点的に取り組んでいる課題を教えてください。

川越市では、市内での設備投資の促進と市民の雇用機会の拡大を図るため、企業誘致をしています。しかし、川越市の約7割が市街化調整区域(※)となっているため、2年程前から力を入れているものの、思うように進まないのが現状です。

圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の内側は、まだまだ企業誘致の需要があると考えていますが、広い土地が確保できず苦戦しています。しかし、交通の利便性では引けを取らないと考えています。

埼玉県と民間事業者とともに2015年に川越駅西口にオープンした複合拠点施設「ウェスタ川越」でも、創業支援ルームを設けて新しい産業の創出を支援しており、今後も注力していきたい分野と捉えています。

(※)市街化を抑制すべき区域で、原則として農林漁業用の建物や一定規模以上などの計画的開発などを除き、開発行為は許可されない区域

 

Q5:「持続的な地域社会の発展」に繋げるために必要な事は何でしょうか?

行政も産業もこれからはSDGsの考え方に沿った形で取組みを展開していかなければいけません。

川越市では、都心30キロ圏内の農業の存続を図るため、2022年に「川越市グリーンツーリズム拠点施設」を始動させ、体験農園やバーベキュー施設をオープンしています。現在、施設周辺にキャンプ場も整備中です。市内外の人に「農のある生活」を楽しむ場として訪れてもらうことで、市民の農業理解の促進、都心からのアクセスを活かした交流人口の増加、川越市の観光分散と滞在時間延長を目指しています。

川越の観光滞在時間は現状、3時間程度です。立ち寄って帰ってしまうか、そのまま群馬県や長野県といった温泉地に行ってしまう。川越への長時間滞在や宿泊客の確保のために、もっと体験型の観光に力を入れていなければと思っています。民間企業でも色々な取組みを検討してくださっていて、例えば、江戸時代から栄える「立門前通り」にあった「旧鶴川座」という芝居小屋跡地に2020年にオープンした「Hatago COEDOYA」は、1階がFOOD HALL(縁結び横丁)、2階以上が宿泊施設となっており、新たな出会いの創出の場として、若者や外国人旅行客で連日賑わっています。

また、「七曲り」という路地がくねくねしている地域があり、そこを通って「喜多院」と言う江戸城を移築した建物が残るお寺に向かうルートを整備したいと考えています。一番街と喜多院を繋ぐ歩いて楽しい道路を創出し、体験価値の向上を目指したいです。

 

「●年後に向けて」の形で、これからの市のビジョンと市長としてのありたい姿についてぜひご教示ください。

川合市長:「市制100周年を迎えた川越市を、この先100年後も選ばれる市としていきたい」と考えています。そのためには、住環境を良くし、子育てもしやすい街づくりをさらに進めていかなければなりません。少子高齢社会の到来を見据えた集約型都市構造の再構築に向けて、都市基盤整備や商業活性化等による都市機能の集積や、川越駅西口の都市計画道路の改良を始めとしたにぎわいと魅力のある拠点都市の形成を図る必要があると考えます。川越市駅の整備も、時間はかかるかと思いますが、取組んでいかなければいけません。

一方で、持続可能な街づくりに向けた財政の健全化も喫緊の課題であり、その解決策の一つとして、企業誘致に積極的に取組んでいきたいと思います。

 

市長としてのありたい姿は、就任当初から政治家らしからぬ政治家でいたいと思ってきました。川越市は、決して派手ではありませんが、さまざまな魅力があふれる街です。たくさんの人に訪れてもらい、そして住んでもらいたいと考えています。そのためにも、今後も地域に根付くスタンスを変えずに、公平、公正を貫き市政に邁進していきます。

 

 

最後に、中堅中小企業の経営者に向けたメッセージをお願いします。

中堅中小企業の経営者の方は、信念や目標をもって経営されていることと存じます。ご自身の目標に向かって進んでいただくことが、地域社会のため、ひいては日本のために繋がると考えます。それぞれの信念を貫く経営スタンスでこれからも頑張ってください!

インタビューを終えて

お忙しい中、川合市長ならびに川越市役所秘書室の皆さま、インタビューにご快諾いただき、本当にありがとうございました。魅力あふれる川越市、そこには最大の担い手として市長以下行政機関の皆さまの熱い想いとご尽力があることを知ることができました。これからも川越市の発展から目が離せません。みらいコンサルティンググループ埼玉支社も中堅中小企業のパートナーとして、微力ではありますが、埼玉県・北関東・北信越の産業振興のお手伝いができるよう、これからも信念をもって努力していきたいと思います。

 

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<執筆者>

未来ラボさいたま

青野 貴宣

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