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「二つの初めて」を背負って。ベトナム駐在4年、地方銀行員が見た「価値観を広げる」本当の意味

「二つの初めて」を背負って。ベトナム駐在4年、地方銀行員が見た「価値観を広げる」本当の意味

山陰合同銀行から「みらいコンサルティング・ホーチミン」へ出向されている岩坂晶平さん。銀行初の試みとしてコンサルティング会社の海外拠点へ出向し、さらにベトナム拠点の初代派遣という「二つの初めて」を背負って赴任されました。

ハノイでの単身赴任を経て、現在はホーチミンでご家族と合流。足掛け4年にわたる駐在生活を送られている岩坂さんに、現地での業務やベトナムの魅力、そして次世代に伝えたい「海外で得られる価値」についてお話を伺いました。

現場で気づく、「未知の領域」を繋ぐ価値

岩坂さんの主なミッションは、山陰合同銀行のお客さま企業がベトナム進出を検討する際のサポートです。しかし、そこには単なる「銀行業務」の枠には収まらない役割があります。

地方銀行にとって、海外コンサルティング会社との連携は簡単ではありません。「何かを売りたい」「拠点を作りたい」という初期段階の相談は、具体的でないがゆえに、大手のコンサルタントからは断られてしまうケースも少なくないからです。岩坂さんはみらいコンサルティングの一員として、こうした「形になる前」の相談を丁寧に拾い上げ、銀行と現地の橋渡し役を担っています。

「設立案件として固まる前の、まだ真っさらな状態での相談に真摯に対応できる体制があることに、非常に感謝しています」と語る岩坂さん。目に見える数字だけでなく、現地への案内や細かな面談対応といった「泥臭い一歩」を積み重ねることが、日本企業の海外進出を支える大切なインフラになっています。

「帰りたくない」と言わしめる、ホーチミンの魔力

ベトナムでの生活について伺うと、意外な答えが返ってきました。当初、海外生活に不安を抱いていた奥さまが、今では「帰りたくない」というほど現地に馴染み、友人を作って多忙な日々を送っているというのです。

岩坂さんは、ホーチミンには女性を惹きつける「都会的な洗練」と「成長の勢い」が共存していると分析します。歴史情緒の残るハノイとは対照的に、ホーチミンは欧米的なカフェやショップが次々と誕生し、外の文化をどん欲に取り入れています。この「変化の速さ」と「心地よい天候」が、住んでみなければわからない中毒性を生んでいるのでしょう。

若い世代へ:日本という「恵まれた温室」の外へ

最近、日本の若い世代の間で海外志向が薄れていると言われます。しかし、岩坂さんの考えは明確です。それは「実体験に勝る学びはない」ということです。

岩坂さん自身、学生時代はサッカー一筋で海外に興味はありませんでしたが、社会人1年目に訪れたインドで価値観が激変しました。 「その日を生きるために必死な人々を目の当たりにして、自分が日本で抱えていた悩みがどれほど小さなものか、いかに恵まれた環境にいたかに気づかされました。それでいて、彼らの姿はどこか楽しそうでもあったんです」

この「生きることへのエネルギー」に直接触れる経験は、単なる知識として知るのとは決定的に違います。海外に出ることは、自分の生きるベースを捨て去ることではなく、そのベースを「ぐっと広げる」作業なのです。

変化を恐れず、自分の「基準」をアップデートする

ベトナムの喧騒や、一見無秩序に見える交通状況。それを「マナーが悪い」と切り捨てるのは簡単です。しかし、そこには日本では経験できない「予測不能な事態への対応力」や、混沌のなかで道を見出す「生命力」があふれています。

日本のようにルールが守ってくれる環境は、ビジネスにおいては素晴らしい基盤ですが、一方で私たちの「個の力」を眠らせてしまう側面もあります。 「一度身についた広い価値観は、一生離れません。日本が一番よいと感じることは間違いではありませんが、それ以外の世界を知らずに決めつけるのはもったいないことです」

銀行の枠を超え、コンサルタントとして現地の熱量に触れ続ける岩坂さん。その言葉には、安定した日常を飛び出した者だけが持つ、しなやかで力強い説得力が宿っていました。次世代を担う若い方々には、ぜひこの「価値観が広がる瞬間」を、自らの肌で感じてほしいと願っています。

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