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2024.06.12
リスクに備える経営

退職代行サービスから何が見える?

退職代行サービスから何が見える?…

最近、「退職代行」という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。このサービスは、従業員本人に代わって退職の意思を会社に伝えるというもので、2018年頃からメディアで取り上げられ始め、最近では認知度が80%を超えているようです。本来、退職の意思は従業員本人が上司に伝えるものです。なぜサービス利用料を払ってまでこのサービスが利用されるのでしょうか?今回は、このサービスが利用される背景や会社が取るべき対策について紹介します。

 

  • ケース1:職場の人間関係・労働環境が悪い

人間関係が十分に構築されていなかったり、職場のコミュニケーションが不足していたりすると、退職の意思を本人から切り出しにくい環境になってしまうことがあります。実際、パワーハラスメント(パワハラ)が起こっているような職場では、退職の意思を社員本人が直接伝えることを萎縮してしまう、ということは想像に難くありません。

 

このような環境をつくらないために、コミュニケーション向上やハラスメント防止へ向けた研修を実施したり、従業員満足度調査により職場環境や人間関係に関する情報を収集し改善策を講じたりするなど、従業員が安心して働ける環境を整えることが重要です。

 

  • ケース2:労働条件等のミスマッチ

入社時や人事異動の際、会社と従業員の間で労働条件などの認識が相違するケースがあります。ミスマッチは従業員のモチベーションの低下を招くだけではなく、ストレスによる心身不調につながることもあります。

労働条件等のミスマッチを防ぐためには、実際に従事する業務内容や条件、就業環境などについて齟齬がないように説明することが大切です。特に新規採用では自社のよい部分だけが誇張して伝わることがないよう、適切な情報提供をおこない、入社後の期待ギャップを最小限に抑えましょう。また、ストレスチェックやカウンセリングの導入など、メンタルヘルスケアの体制を強化することも効果的です。

 

  • ケース3:退職の意思は伝えているが受理されない

退職の意思は明確に上司に伝えているものの、なかなか聞き入れてもらえずに受理されていないことも多くあります。たとえば、「後任者が採用できるまで待ってもらいたい」というような話もヒト不足の時代だからこそ、多いのではないのでしょうか。過度な引き留めを実施してしまうと、ハラスメントと受け取られてしまうため注意が必要です。

退職の意思表示に対しては、まずはその意思を正面から受け止めることが重要です。従業員本人の話に耳を傾けて相手の立場に立つことが大切な姿勢といえるでしょう。このようなスキルを身に付けるためにコミュニケーションスキルに関する研修の実施も有効で、かつ、そのスキルを自然に使えるよう日常的に訓練をおこなうことをおススメします。

 

退職代行サービスの利用には、背景に「人」や「組織」の課題が存在しています。従業員が退職代行サービスを利用して退職を申し出たという事実に対して、その背景や原因を明確にしていき、問題を改善していくことで組織や会社をより強くしていくことができると考えます。

 

このような課題は自社のみで解決することが難しく、専門家や外部のサポートを受けながら進めることも効果的です。退職代行サービスの増加は、単なる一過性のトレンドではなく、企業文化や労働環境に対する深刻な警鐘であると感じています。この機会に、大切な従業員が安心して働ける職場環境づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

従業員の雇用定着、職場のコミュニケーションなどでお困りごとなどございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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