8tipsリスクに備える経営
- 2020.08.06
- リスクに備える経営
BCPのススメ
金融危機、地震などの自然災害、そして、未知のウイルスによるパンデミック ── 経営を揺るがす大きな事象がおこるたびに話題になるのはBCP(事業継続計画)です。
BCPについては、あらためて説明する必要はないと思いますが、シンプルにいうと、「主に外部環境の突然の変化に企業としてどう対応し、乗り切るか」を定めた計画、です。今般においても、パンデミックを想定されていたかどうかは別として、BCPがあることで速やかに対応ができた、という方もいらっしゃるでしょうし、また、これを機に内容を見直したり、あらたに作成することを考えている、という方もいらっしゃるかと思います。
そこで、これからご検討される場合は、今のBCPにぜひ以下2点の観点を付け加えていただくことをご提案したいと思います。
①守り一辺倒ではなく、「攻め」を意識する
BCPというと、どうしても「守り」の視点が強くなります。社員やその家族の命や安全を守る、サプライチェーンを維持して自社の事業への悪影響を最小化する、など、とても大事なことばかりですし、突発的な危機に備えるわけですから、守りを固めて当然です。ですので、守りをしっかり固めてから、という前提にはなりますが、「攻め」を意識した行動計画をご検討いただきたいと考えます。たとえば、災害発生時に、自社のリソース(人、物、場所といった資源)を活用してできることはないか、という観点です。もちろん、社会貢献活動としてでもいいですし、それにより適切な利益を得ることは決して非難されるべきことではありません。
②守るべき「自社の価値」はなにか、を考える
たとえば、食品スーパーの直接的な提供価値は、あらためていうまでもなく、安全な食料品を民衆に供給することです。その個々の商品に利益(=価値の対価)をのせて販売することで、社員へは給与、株主には配当、そして社会に対しては税という形で利益の再配分をおこなっています。ただ、それだけではなく、地域の情報が集まる、高齢者の集いの場、といった対価の発生しない「場の価値」もあるでしょうし、地域に安心感を提供する象徴的存在、といった「心の価値」もあるのではないでしょうか。普段利用しているスーパーが、大きな災害後でも営業しているのをみて、安心感を覚えた、という方もいらっしゃると思います。
BCPを考えるとき、基本的な提供価値だけにフォーカスするのか、それとも、それ以外の見えない価値まで意識をおよぼすのかでは、自ずと対策が異なるはずです。
自然災害、感染症、地政学的リスク、「想定外はない」世界において、BCPはもはやリスク管理の範疇ではなく、経営戦略そのものです。一部の部署が書類として整備するだけではなく、組織全体に感覚として浸透させ、自然と体が動くレベルに達したいところです。
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