8tips右肩上がりの経営
- 2022.08.31
- 右肩上がりの経営
注目の『人的資本』の指針が公開されました!
本日は、今後の経営における重要なキーワードとして取り上げられている、「人的資本」について、その指針案が公開されましたので、ご案内します。
まず、あらためて、人的資本が注目されているポイントをお伝えします。
●企業価値は、これまでの「有形資産(工場や設備など)」から「無形資産(研究開発やアイデア、ブランド価値、サプライチェーンなど)」の占める割合が高くなっている。株価においても、無形資産の時価総額への影響は大きく、「人的資本」はこの無形資産の大切な一つとなる。
●人的資本とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方となる(「人的資本経営」)。
●人的資本は、「ESG投資(※)」における投資評価項目の1つとしても考えられ、このうちの「S(Social=社会)」の部分として、特に将来の企業収益につながるものとも想定される。
※)「ESG投資」とは、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つの要素も考慮した投資のことを指す。気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されている。
2022年6月に内閣官房より、「人的資本可視化指針案」が公開されました。7月までのパブリックコメントを経て、この指針が公表されます。今回の指針は、特に人的資本に関する資本市場への情報開示の在り方に焦点があてられており、既存の基準やガイドラインの活用方法を含めた対応の方向性について包括的に整理した手引きとして編さんしたとされています。そして、人的資本を含む非財務情報の開示事項や方法については、様々な基準や指針があり、今回の指針ではこれらを整理し、人的資本に関して日本企業として開示が望ましい項目案が具体的に示されています。なお、上場企業においては、有価証券報告書での開示対応が求められます。
指針案で示された開示事項には、戦略的な企業価値向上に向けた取組を表現して、投資家からの評価を得る「価値向上」に関する開示、投資家からのリスクアセスメントニーズに応え、ネガティブな評価を回避する観点から必要な「リスク」に関する開示の双方が含まれています。
【図表:開示事項の階層(イメージ)】
※出典:人的資本可視化指針(案) 内閣官房
指針案では、各開示事項のより具体的な例も示されています。たとえば、「育成」に関連する開示事項の例としては、『研修時間』『研修費用』『研修参加率』『人材確保・定着の取組の説明』などがあげられています。
「健康・安全」の例としては、『労働災害の種類、発生件数・割合、死亡数等』『(労働災害関連の)死亡率』『業務上の負傷、事故、疫病による損失時間』『健康・安全関連の研修を受講した社員の割合』などがあげられており、「コンプライアンス・労働慣行」の例としては、『人権レビュー等の対象となった事業(所)の総数・割合』『深刻な人権問題の件数』『団体交渉協定の対象となる社員の割合』『懲戒処分の件数と種類』『サプライチェーンにおける社会的リスク等の説明』などがあげられています。
各開示項目については、すべてを開示することまでは求められていません。一方で、人権問題やサプライチェーンにおける社会的リスクなど(≒人権デューディリジェンスへの対応)も示されていることからも、今後多くの企業において影響が生じてくるものと想定され、引き続き注目しつつ、具体的な対応についての検討も必要となってくるものと考えられます。
一見すると難しく感じるかもしれませんが、社会的にも「ヒト」にフォーカスした経営が求められるようになりますので、ぜひ早期の取り組み開始をおすすめします。みらいコンサルティンググループでは「人的資本」に関する各種ご支援を用意してまいりますので、ぜひ一度ご相談ください。
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