8tips右肩上がりの経営
AI時代における経営者の真の判断力を考える
経営者が背負う「判断の舞台」
よく「人生とは判断の連続だ」と言います。仕事においてもそれは同様で、どのような立場においても判断を含まないものは無いと思います。ただ、その判断の影響は役職(役割)が大きくなればその分重大になります。私は仕事柄、さまざまな経営者とお会いすることが多いのですが、その重圧や深刻さに圧倒されることがあります。そして、よく「みらいさんはどう思う?」と意見を求められ、少しでもその重圧を楽にしたいと、あれやこれやと私なりの考えをお伝えするように心がけています。そうしたやり取りを重ねる中、ふと「ビジネスの判断力って何だろう?」という疑問が浮かびました。ビジネスでの意思決定には、どのような力が潜んでいるのでしょうか。
判断力の核心:問題解決力
判断力の中心にあるのは、問題解決力です。問題を徹底的に分析し、仮説を練り、検証し、そしてその結果を踏まえて再度修正する。これには論理的思考やさまざまな思考プロセスが絡みます。しかし、ビジネスにおいては、単なる論理だけではなく、独自の視点や判断が求められる瞬間があることも確かです。極端な表現をすると、1 + 1=2と答えが出ているのに、実際の判断は3にする、というシーンに遭遇することがあるのです。私自身、駆け出しのコンサルタントのころは「論理的に答えが明確に出ているのに、なぜこの方は悩まれているのだろう、なぜこのような判断をされたのだろう」と悩んだものです。
人としての資質:判断力の前提条件
中国の古典「呻吟語(しんぎんご)」の中に人物像にまつわる一節として以下のような記載があります。
深沈厚重(しんちんこうじゅう)なるは、これ第一等の資質 (どっしりと落ち着いて深みがあること)
磊落豪雄(らいらくごうゆう)なるは、これ第二等の資質 (積極的で細部にこだわらないこと)
聡明才弁(そうめいさいべん)なるは、これ第三等の資質 (頭が切れて弁が立つこと)
この一節が意味しているのは、頭が切れて弁が立つことは三番目に大切な資質に過ぎないということです。重要なのは、人としての資質―厚みや重み、そして胆力と積極性。つまり、これがなければ、どれだけ知識や論理力があっても、真の判断力は生まれない、ということではないでしょうか。
判断力を磨く二つの柱:内省と志
では、これらの人としての資質をどのように育むか。その鍵は二つの柱にあります。一つ目は「内省」。自分自身の価値観や生き方を問い直すことで、判断力を支える土台を築くことができます。もう一つは「志」。強い意志や目標があれば、困難に立ち向かいながらも継続的に判断力を磨くことができます。
AI時代の挑戦:真の判断力の再評価
2023年、AIのブレイクスルーが大きな注目を集めました。これによって、聡明で弁才のある能力がAIに取って代わられる可能性が出てきました(既に一部では代わっているのかもしれません)。しかし、真の判断力はAIが追いつけない領域に潜んでいるのではないでしょうか。技術の進化に対応しながらも、人間としての真髄を見極め、未知の舞台に立ち向かう勇気こそが、これからのビジネスパーソンに求められるものかもしれません。
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