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2024.08.22
右肩上がりの経営

賃上げはもはや不可避!対応するための3つのポイントとは

賃上げはもはや不可避!対応するための3つのポイントとは…

ここ数年の初任給の引き上げや賃上げの動向に危機感を感じられ、賃金制度の見直しについてご相談をいただくケースが増えています。大手企業が大きく賃金を増加させるなかで、中小企業はどのように、どこまで対応するのか、悩まれている経営者も多いと思います。

本コラムでは、初任給の引き上げ状況や賃上げ動向などを踏まえて、中小企業における対応策についてお伝えします。

 

最近の初任給動向

一般財団法人労務行政研究所の2024年の初任給調査によると、回答した企業の81.3%が初任給を引き上げたそうです(全学歴一律の場合)。その平均額は、大学卒で23万1127円、高校卒で19万1455円と、前年水準に比べてそれぞれ1万円以上引き上げられています。過去数年の引き上げ実績からみても、各年で初任給を引き上げる企業が30%~40%程度だったのに対して、2023年は70.5%、2024年は81.3%と、例年と比べて多くの企業が引き上げをおこなったことがわかります。その背景には、新卒者を確保したい企業側の需要と、学生の売り手市場の傾向が強まっていることがあり、2023年には大手金融や建設業界で大幅な初任給引き上げがあった他、2024年では製造や流通、外食業界などで大きな引き上げも見られました。

※労務行政研究所の調査結果に基づき、みらいコンサルティングにて作成

 

上記表は、日本国内の証券市場に上場している企業や、上場企業と同等の企業に対する調査の結果です。ニュースや新聞などでは、「大手企業が初任給を30万円に」「初任給を〇万〇千円引き上げ」と取り上げているため、従業員には「他社(世間)では初任給を大幅に引き上げている」と感じている方もいると思います。すべての企業が同じように引き上げをおこなっているわけではないですが、大手企業の初任給引き上げに伴い、地域の中堅中小企業も同様に対応に迫られているというのが現状だと考えます。

 

賃上げの状況

また、ご承知のとおり、物価高騰に伴う企業の「賃上げ」の流れもあります。

同じく一般財団法人労務行政研究所が集計している国内主要機関の賃上げ集計結果をみると、2015年~2022年までは平均して5千円~6千円程度だった賃上げ額が、2023年には平均1万円程度となっています。2024年は現在調査中ではあるものの中間集計では1万6千円前後の賃上げといった話もあります。

 

※労務行政研究所の集計結果をもとに、みらいコンサルティングにて作成

 

例年のように世間の動向をみつつ数千円程度を昇給させる、といった対応では実質賃金がマイナスになってしまう、といったことの他、先に述べた初任給引き上げも影響し、全体の給与総額が引き上がる形になっています。このような流れは来年以降も続くとみられ、これを機に賃金表または賃金制度そのものを見直すことを検討している方も多いのではないでしょうか。

 

中小企業がとるべき対応、大切なポイントは

世間情勢を踏まえ、中小企業にも対応が求められていますが、単に給与を引き上げれば済むという話ではなく、経営戦略全般を見直す必要があります。そのポイントを3つご紹介します。

 

ポイント① 収益向上策は必須(短期~中長期目線で)

賃上げの原資となるのは「収益」しかなく、将来に向けて利益を確保できなければ賃上げに踏み切ることはできません。取引先に値上げを要請する、自社の収益構造自体を見直す、売上や生産性を高めるための施策(DXやAI活用など)を検討する、など、いまこそ、経営戦略全般のブラッシュアップが必要です。

 

ポイント② 給与水準は総合的に検討

報道されている数字や他社動向は気になりますが、新卒初任給引き上げは慎重に検討されることをおススメします。また、初任給が引き上がることで、新入社員と既存社員との報酬逆転が発生しないように、既存社員の賃上げをすることも併せて検討することが必要で、初任給増加額と同額を一律で上乗せする方法や、若手層に配分を多く、中堅層以降の配分を少なめにするといった方法がありますが、改定にあたっては既存社員のモチベーションを意識しながら検討すべきです。

 

ポイント③ 採用戦略自体も見直す

給与水準だけで他社と競合することは現実的ではありません。給与は大事な要素ですが、それだけで就職先を決定する求職者ばかりではありませんので、自社の魅力(福利厚生や労働環境だけではなく、働きがいや社会的な貢献なども)を効果的に届けられるよう採用戦略の見直しが重要です。もちろん、求職者に見せている会社像と実態に乖離が生じないよう、既存社員に対する啓蒙なども同時に実施するような取り組みも忘れてはなりません。

 

いかがでしょうか。近年では最低賃金についても毎年大幅な上昇が続いています。先々を見据えて、今取り組むべきことを考えている皆さまの、ご検討の一助になれば幸いです。

みらいコンサルティンググループでは、賃金制度の見直しや採用施策に関する具体的なご支援はもちろんのこと、経営戦略の磨き上げなども総合的にご支援していますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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