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2023.03.15
社員が幸せな経営

賃上げを検討する際の考え方、ポイント

賃上げを検討する際の考え方、ポイント…

2022年12月の消費者物価指数は前年比約4%と、41年ぶりの急激な物価上昇により実質賃金の前年割れ状況が続いています。また、構造的な「人手不足」によりついに中堅中小企業にも賃上げ機運が高まってきました。

ただ、賃上げを検討する際にはいくつかのポイントがあります。今回は賃上げについての考え方、実務的なポイントについてお伝えしたいと思います。

 

賃上げには「ベースアップ」と「定期昇給」がある

まず、賃上げには「ベースアップ」と「定期昇給」の2種類があります。ベースアップは「賃金テーブル全体を高い金額に書き換えること」を言い、物価や生活費の上昇分などを賃金に反映させる目的などで実施されます。

また、定期昇給は「賃金カーブの上で1つ上の刻み(年齢等)に金額を上昇させること」で、年齢や勤続年数、職務遂行能力の上昇などを賃金に反映させる目的などで実施されます。

それでは、今回の物価上昇による実質賃金の目減りに対応するためには、ベースアップに踏み切った方がよいのでしょうか。労務行政研究所が毎年実施している「賃上げ等に関するアンケート」の調査結果では、定期昇給の実施を予定している企業は9割を超えている一方で、ベースアップの実施を予定している企業は41.6%にとどまりました。前年の調査結果が17.0%であったことを考えるとベースアップの機運も確実に高まっているようにも思いますが、まだまだベースアップには慎重な姿勢を崩さない(定期昇給のみ実施する)企業も多いようです。

 

賃上げを検討する際のポイント

賃上げを検討する際の実務的なポイントとして、賃上げの影響範囲(人件費増の影響)は必ず確認しておくべきポイントとなります。例えば、仮に基本給を3,000円ベースアップしたとすると一人あたり年間36,000円の人件費増となりますが、それだけでなく基本給を算定基礎額としている時間外手当(例えば月所定労働時間を176時間、20時間、割増率1.25で計算)や賞与(例えば基本給の年間4か月支給で計算)にも影響が拡がり、一人あたりの増加額がこの段階で53,114円、基本給の増加分の1.5倍程度まで人件費が膨らむ計算となります。さらに厳密にいえば、基本給を算定基礎額とする退職金制度がある場合や、社会保険、労働保険の影響にも留意する必要があります。

自社で賃上げを実施する場合の影響範囲を確認したうえで、総額人件費から逆算していくらまでベースアップが可能か、という逆算思考が大切です。

 

効果的な人件費配分を考える

賃上げには全社員一律のベースアップだけでなく、特定の年齢層、職種、等級など、人材獲得戦略上重視すべき層に限定して戦略的に実施するケースも増えています。

 

大切なのは、自社の現状が適切な状態かチェックしておくことです。外部比較の視点で自社の給与水準が世間の給与水準と比較して競争力があるのか、また内部比較の視点で貢献度に応じた適切なメリハリがついているかを確認して問題点を特定し、問題点に対してピンポイントに対応策を実行して効果的な人件費配分を実現することが重要です。

社員の給与への納得度、貢献意欲を引き出し、会社が社員と共に成長していくためには、世の中の動きに意識を向けるだけでなく、自社における給与の問題点を明確にするところから始めることをお勧めします。

給与の現状分析についてご不明な点などございましたらお気軽にご相談ください。

 

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