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2023.11.01
引き継げる経営

事業承継は「後継者選び」の前に「組織文化醸成・育成」から

事業承継は「後継者選び」の前に「組織文化醸成・育成」から…

「現経営者に子どもがいない」「子どもに継ぐ意思が無い」「任せられる後継者候補がいない」などの理由で、現経営者の引退時期が遅れ、結果として廃業を選択する企業が増加しています。

 

多くの企業の事業承継課題に向きあってきましたが、後継者候補がいると認識していた経営者ですら、うまく承継できない事例が多々あります。

 

1. 後継者選びができず、事業承継を進められない経営者

実際に現場でおきた事例をご紹介します。

 

事例1|後継者候補のハラスメント事件

事業子会社の次期社長として期待していたメンバー(親族外、第三者)を取締役に選任し、会社の運営全般を任せていたところ、社長交代目前のタイミングで、周囲の従業員から当人がハラスメントや業務上横領をおこなっているといった事実について直訴を受けた。

 

複数人からの事情聴取や、専門家を交えて帳簿類の確認をおこなったうえで、ハラスメントや横領の事実があったと判断。臨時株主総会を実施し、取締役を解任した。

 

現社長が次期社長候補を選出した時点では、仕事に前向きで営業成果をのばす勢いのあるメンバーという評価だったが、取締役に選ばれたこと、次期社長候補であることが伝えられたことで、徐々に「傲慢さ」が生まれたのではないかとのこと。

 

事例2|後継者候補と考えている人物が後継者候補ではなかった

現社長に対して「引退する際、会社を任せられるメンバーは社内にいますか?」という質問をしたところ、対象と考え育成しているメンバーが4人いることを確認した。ただ、詳細を聴くと、その4人は社長との年齢差が少ないことから、社長が引退するまでの10年間で次世代の幹部候補を育てていかなければならない、という新たな課題が生まれた。

 

2. 10年先の外部環境の変化がわからなくとも、社長と社員の年齢変化は把握可能

「変える」という意思決定には覚悟と力が必要です。

過去から現在まで磨いてきた既存事業において、各スタッフが個々に成長し、短期的な利益を生み出す能力を考えると「今が最高!」といえる状況である会社であっても、事業承継というテーマで考えたとき、重要な課題がでてきます。

 

社長や現幹部が引退することを想定すると、その先を任せられるメンバーが育っていない、今と同様の成果をあげることが難しいという状況が予測できる事例が非常に多くあります。

 

企業経営において、短期的な利益の創出だけを目的にしてしまうと、「少数精鋭」「効率化」を考え、「育成」「変化を伴う挑戦」が後回しになってしまうことがあります。しかし、企業活動の継続を考えると、新たな企業の未来を創出する「投資」が求められます。

 

企業の未来を支え続けるヒトと組織を育てるための投資の前提として、現在の経営者や幹部が引退した後も企業活動を継続できる「意欲と覚悟を持ったメンバーで創られた組織」が理想です。

 

私たちが、経営者の方に「後継者候補に求める力は何ですか?」と質問すると、「企業経営に対する意欲と覚悟」と応える方が多くいらっしゃいます。これは、経営者自身が持つ意欲と覚悟が、従業員のそれとでは大きな差があり、その覚悟のない人に経営者は務まらないという実感があるからだと思います。

 

子どもがいて、将来、経営者としての活躍を期待していることを伝え続けてきた場合ならまだしも、特定の部署で、特定の業務に従事してきた従業員に対して、経営者と同じ意欲と覚悟を持っているかどうかを確認したところで、そもそも「自分が経営者になる」そんなときがくると思っていないヒトの方が多いだろうと思います。

 

ご自身が引退したあとも企業が継続し、成長を続けるためには、組織がどのように変化していることが期待されるのか、そのためにはどうしたらよいのか、それを考えることが、事業承継には求められます。

 

3. 組織自律化とリーダーシップ醸成

「自分が引退する際、安心して任せられる意欲と覚悟を持ったメンバーが育っている」「それぞれ一人ひとりが、会社の未来を創造できる組織になる」そんな組織づくりが必要なのかもしれません。

 

組織づくりは、ビジョン、パーパス、ストーリーを描き、共有することからはじまります。

将来、会社が期待する未来の実現をめざすことが、自分の生きるストーリーと重なることに納得できるメンバーが「経営に対する意欲と覚悟」を持てる後継者候補として成長できるメンバーです。

 

この目標を達成するためには、自律的な活躍を促す組織文化づくり、守り続けたい価値観を共有しながらも、変化し続けられるチームづくりが求められます。経営者の皆さまの想いと実績を受け継ぎ、会社を継続し、成長を続ける期待を生みだす事業承継の実現が、従業員や取引先、社会にとって期待されているのではないでしょうか。

 

みらいコンサルティングでは、事業承継を実現させるための組織づくり、将来の幹部がそれぞれ自律化しながら活躍する組織づくりをめざした企業研修プログラムをご用意しています。時代の変化に柔軟に対応しながら企業経営を実践できる人材、組織は一朝一夕でできるものではありません。経営者の生き様、企業のありようを共有できる人材づくりのお手伝いをさせていただきます。

 

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