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2022.05.18
引き継げる経営

熟練職人の技術・技能を継承するコツ

熟練職人の技術・技能を継承するコツ…

先日、ある経営者の方とお話しさせていただいた際に、「熟練職人から若手社員への技術・技能の継承」という課題が話題となりました。その経営者の方とのお話で出た視点が多くの企業の参考になると感じましたのでご紹介いたします。

 

「熟練職人」と「若手社員」とは?

まずは、「熟練職人」と「若手社員」については以下のように定義しておきます。

 

「熟練職人」

・状態を俯瞰しながら成果を得るためのプロセスを知っている。構築することができる。

・異常が生じた際に何が異常であるのか特定するためのプロセスを知っている。

・長年の経験の中で解決策を決定するための「判断軸」と「解決策」を持っている。

・熟練職人は自己が判断し実行したことに対する「調整力(修正力)」を持っている。

⇒ 結果として広い幅で安定した成果を得ることができる。

 

「若手社員」

・一定環境下で基本的な成果を得るためのプロセスは知っている。

・異常が生じていることに気付くことができない。

・異常が生じていることを認識できたとしてもどのような異常であるのか診断できない。

・その異常が特定できたとしても解決策がわからない。

・解決策がいくつか思いついたとしてもどの解決策が有効であるか判断できない。

・解決策を実施してみるが状況に応じた調整ができない。

⇒ 一定の環境下で、特定の成果をあげることができるが、対応できる幅が狭い。

 

 技術・技能の「継承」という課題を解消するには?

そもそも、熟練職人の「技術」と「技能」を区別して扱うことが大事だと、その経営者の方から教えていただきました。

「技術」は前提条件が一致すれば毎回同じ手順で実施される工程であり、マニュアル化できるものですが、「技能」は、状況環境変化等を察知・判断し、それに応じた対応をする能力で、熟練職人の長年培った経験を通して属人的にしか得られないノウハウ(暗黙知)、と両者を区別することができます。

そして、この「技能」について、「伝え方がわからない」ということが課題の本質で、この「伝え方」の部分に対し、一般的には「みえる化」を進める、という話になるのですが、「みえる化」の「み」の部分の字を以下のように深掘りすることで、継承するポイントを整理していると伺いました。

 

①「見」える化:情報を資料化することで共有できるようにすること

 ・取り組みの全体像、前提条件の全体像を俯瞰可能にする。

 ・個々の技術についてはマニュアル化により「見える化」を進めることができる。

 ・「業務一覧化」「業務プロセスマップ」を作成する。

 

②「視」える化:現状を適切に認識できるように整理すること

 ・想定していた取り組みを進められない「異常な状態」に気付く環境にすること。

 ・「正常な状態」と「異常な状態」の区別ができる情報の取得ができるようなモニタリングを実施。

 ・背景や行間も意識しながら、業務対応を実施する。

 

③「診」える化:高度な技術で分析し適切な判断ができるようにすること

 ・「異常な状態」を発見した際に「どれくらい異常であるのか」その異常がなぜ発生してしまったのかを調査、認識できる体制にすること。

 

④「看」える化:修理・改善等適切な処置がとれる体制・環境を整えること

 ・「異常な状態」を治す・修正することができること。

 ・環境に応じた取り組みを実施する際に想定外の状況になったものを修正するための「選択肢」を用意し、どの解決策が効果的であるのか判断し、対処することができる。

 

熟練職人は、技術を適切に扱えるだけではなく、状況・環境の変化に応じて、長年培った経験と勘により、どうしたらよいかの判断を実施することができる「幅」が若手社員よりも広いものです。それを認識することで、その幅を埋めるためにどうやって対応するかを、仕組みとして構築していくことが可能になるのでしょう。言い換えれば、問題解決の「答え」を共有することではなく、「問題を察知する能力」とその「問題の答えを導き出すための思考力・判断力」を意識づけることが、本質的な継承に繋がっていく、ということだと思います。

 

デジタル技術の急速な進歩や競争環境の国際化といった環境の急速な変化は企業間の競争を高め、また、プロダクトライフサイクルの短期化もあり、これまでのビジネスのやり方だけでは利益創出が困難となることも想定されます。また、総務省が5月5日の「こどもの日」に合わせて毎年公表する15歳未満の子どもの推計人口(4月1日現在)は、前年より25万人少ない1465万人で1982年から40年間連続して減少しており、将来を担う人員確保も大きな課題です。

企業にとって重要な財産である「技術・技能の継承」が適切に進められているか、いま一度ご検討してみてはいかがでしょうか。

 

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