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2024.07.03
社員が幸せな経営

評価プロセスを社員の「育成」に活用する方法

評価プロセスを社員の「育成」に活用する方法…

評価は、「昇格候補者の選定」や「昇給・賞与額の決定」のために実施しているものの、効果的に育成に活用できているとは言えないというのが現場の実態ではないでしょうか。

評価を「育成」に活かさないとモッタイナイ!

6月、7月は賞与支給時期という会社も多く、支給額決定のための人事評価を実施する時期でもあります。

多くの部下を抱えている管理職は、評価作業にかかる負担はきっと大きいはずです。無事に評価を終え、賞与額も決定し安堵されているといったところかもしれません。

ただ、ここで気になるのが、評価を単なる賃金や賞与の金額を決定するため「だけの」プロセスにしていないかということ。

相当の時間的・精神的な負担をかけて、評価を実施していると思うのですが、それをたとえば「育成」に活かせていないのは非常にもったいないと思うのです。

 

本当に役に立つ「評価者研修」とは?

評価は、①目標を設定(期初)、②中間面談、③期末評価、④フィードバック、というプロセスが一般的で、評価者に対する「評価者研修」において評価の目揃えをおこない、評価の納得感を高めるように力を入れている会社も多いのではないでしょうか。

評価者研修では、ある場面(ケース)を想定し、評価者全員が同じ評価ができるようにするという目的で実施されているということをよく耳にしますが、実はあまり効果的な方法だとは思えません。なぜなら、現実の評価においてはあくまでも「ケースバイケース」、同じ場面を経験することはないからです。

人事部門が評価者研修を毎年のイベントのように実施しているため、“評価を適正・公平にすること”に意識が向いている管理職の皆さまが多い一方で、“評価を育成に活かす”ことに意識が向いている管理職は少ないと感じています。

 

評価への納得感を高めるためのプロセス

被評価者(部下)からの不満として、「管理職によって評価の甘辛がある」「評価の基準がわからない」といった声をよく聞きます。

部下としては、あの同僚、後輩、先輩と“比べて”私の方が貢献している、頑張っているのになぜ評価に差がついていないのか、今期は頑張ったのになぜ自己評価との乖離があるのか、といった気持ちがあるのでしょう。

この不満は、評価時期だけでは決して解消することはありません。もし解消しようとしたら、「期初に期待値の合意を丁寧におこない、期中で期待値とのギャップが生じた場合はその都度伝えていく」、という丁寧な取り組みが必要だと考えます。

このプロセスをしっかりおこなうと、個人別に期待値を伝達することになりますので、他者と比較するのではなく、自身に設定された期待値との差と比較する思考に変えていくことも期待できます。つまり、評価結果を他責ではなく自責思考で捉える社員を育成できるということです。

 

期待値伝達・合意と期中面談のポイント

多くの評価制度においては、評価期間における目標達成度に対する評価と、行動に対する評価が、併用されています。期待値伝達・合意においては、「目標」と「行動」の両方を取り扱うことが、効果的な育成と納得感のある評価を進めるためのポイントです。「目標」の設定は丁寧にしている一方で、「行動」の期待値は伝達していないことがほとんどで、ここが評価制度を育成に活用できておらず、また納得感のないものにさせている主な要因だと考えています。

たとえば、「チャレンジ」という行動評価項目があった場合、「○○さんにとってチャレンジとは今やっている仕事だけではなく、△△の仕事を手を挙げて取り組んでもらうことを求めていますよ」といったようにより具体的に伝えていくことで、より効果的な育成につなげることができますし、“できた・できていない”がより明確化できますので、評価自体にも納得感が生まれます。

もう一つ、大事なポイントは、ズレの修正です。期初面談において当初の期待値が完全に同じイメージで共有できている場合は少なく、ズレが生じるのが当然ですので、期中面談や日常のコミュニケーションの中でそのズレがあることをお伝えすることです。

これらのプロセスにより、期末はその期待値に対する達成度を確認することになりますので、評価者側の精神的負担も軽減できますし、評価される側も納得感の高い評価になります。

また、このプロセスの最大の効果は、成長のサイクルを1年(評価サイクルが半年であれば半年)早めることができることにあります。

評価期間後のフィードバックで改善点を伝えて次の年に成長を促すよりも、期初に期待値を伝えて期中に微修正を繰り返した方が早く成長できる可能性がある、ということです。

 

いかがでしたでしょうか。コストも時間も精神的な負担もかけて実施している評価のプロセスを少し工夫するだけで、育成の効果をさらに高めることができることがおわかりいただけますでしょうか。

みらいコンサルティングでは、単なる処遇決定のためだけの人事制度ではなく、効果的な育成を主眼においた人事制度の構築と運用を支援しております。

会社の成長は社員の成長にかかっています。納得感の低い作業的な評価制度から、効果的な育成をすすめるための評価制度へと見直しをすすめ、会社の成長を加速化していきませんか。

 

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