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    ~中小企業こそ「働きがい改革」を~

8tips社員が幸せな経営

2024.08.29
社員が幸せな経営

「JTC」からの脱却
~中小企業こそ「働きがい改革」を~

「JTC」からの脱却 <br>~中小企業こそ「働きがい改革」を~…

JTCとは何か

最近、「JTC」という言葉をよく目にするようになりました。ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーの略で、伝統的な日本企業、といえば聞こえはいいですが、「旧態依然の古い体質の会社」などと揶揄する際に使われます。日本経済新聞の調査によると、X(旧ツイッター)のJTC関連の投稿数は、直近1年間で24万件を超えており、SNS上には古い企業慣習や人事制度への不満があふれています。
昭和の高度経済成長を支えた日本型雇用システムのもと、終身雇用や年功序列による社員の帰属意識を強みに競争力を強めてきた日本企業ですが、バブル崩壊後は経済が低迷し、硬直的な組織が失敗を回避する企業文化を生み出して、イノベーションの阻害要因になったといわれています。

中小企業の現状と課題

JTCについては、大企業を対象としてマスコミで取り上げられることが多いため、中小企業の経営者の中には「うちは中小だからね」と半分他人ごと、半分あきらめのような声を聞くことも少なくありません。しかし、投資家やグローバル市場と直接的な接点を持ちにくい中小企業の経営者こそ、この問題に目を向けるべきです。
たとえば、人事評価制度の構築・運用・クラウド化を支援する「あしたのチーム」が発表した「中小企業社員300人に聞いた“ウチの社長”調査」によると、64.6%が「社長の考えが古い」と回答し、41.7%が自社がJTCと思っているという結果が出ました。そして「古いと思うこと」のトップは「給与体系」の21.7%で、次いで「人事評価に関する制度」の17%というように、中小企業においても「年功序列」に不満がくすぶっているようです。
中小企業の組織風土や社内の仕組みは、社長の考え方や個性に大きく影響を受けます。このことから中小企業のJTC化は、いわば経営者の問題ととらえられがちです。しかし、多くの中小企業は人材不足が経営課題となっており、新たなことにチャレンジしたくても、それを実行できる人材が不足しているため、手を付けられなかったという実状もあるのではないでしょうか。

 

中小企業こそ「働きがい改革」を!

かつての大量生産大量消費の時代から、消費者行動が多様化し、AIなど高度なデジタル技術が進展する時代へと変化した今、競争力の源泉は従業員が持つ知恵や能力へと変化しています。そうであるならば、人心の離反を防止し、「働きがい」を取り戻すことは、企業にとって避けて通れない時代に差し掛かっているのかもしれません。
ハーズバーグの二要因理論に基づけば、「働きがい」とは、「働きやすさ(衛生要因)」と「やりがい(動機付け要因)」からなります。よく、人事制度を見直したものの、コストが増えただけという声を聞くことがありますが、これは「やりがい」への手当を損ねた場当たり的な対応に留まった点に、原因の多くがみられます。
やりがいとは、「仕事から活力を得て生き生きしている(活力)」、「仕事に誇りとやりがいを感じている(熱意)」、「仕事に熱心に取り組んでいる(没頭)」の3つがそろった状態といえますが、たとえばパーパス経営などは、自社の社会的な存在意義を明確にし、それを経営の軸として従業員からも共感を得る点で、経営に求心力をもたらし、「やりがい」を高める効果が期待できることから最近は多くの企業で実践されているのだと思います。

 

パーパス経営はあくまで一例にすぎませんが、これからの時代は、人手不足に悩む中小企業こそ、働きやすさとやりがいと向き合い、人的資本を最大化する「働きがい改革」に取り組む大きな価値があると考えます。もし、「JTCからの脱却」「働きがい改革」といったキーワードが気になる方がいらっしゃいましたらぜひ当社コンサルタントにご相談ください。

 

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