8tips社員が幸せな経営
- 2020.05.08
- 社員が幸せな経営
テレワークで「見えなくなる問題」とは
テレワークの加速により、見えないことに不安を覚えませんか?
テレワークの本格化に伴い、経営幹部と社員、社員間のコミュニケーションの重要性が高まっています。
テレワークという言葉も一般的になってきました。テレ+ワークという横文字には特に意図や誰かの意思があるわけではないと思いますが、すなわち「在宅勤務」、もっとしっかりと定義をするとすれば、「自宅で会社組織の仕事をする」とでもいえばよいでしょうか。
テレワークの導入時には、「どうやってやったらいいか」、「労務管理はどうしたらいいか」、「セキュリティは大丈夫か」といった課題が検討されてきましたが、導入が進み、しかも、一斉にずっとテレワーク、といった前代未聞の事態に遭遇する中で、今度は新たな課題を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
簡潔にいってしまうと、ズバリ「見えなくなった問題」とでもいえるでしょうか。
▼性善説?性悪説?
会社の経営者から最近多い相談として、「みんなでテレワークしているが、仕事はできているだろうか。社員を信じていないわけではないが、どうも不安」というものがあります。
そういった課題に備えて、パソコンの稼働状況をチェックするソフトがあったり、パソコンについてるカメラかセンサーで着席の有無を記録する、といったソリューションが提供されていますが、「管理される側」すなわち社員の目線から申し上げると、信用されていないみたいでなんだかおもしろくない、というのが本音なのではないでしょうか。
一方、「ここは社員を信じる度量が必要です」といったアドバイスをする専門家もいますが、経営者の目線では「とはいっても、万一サボる人がいたら、不公平になるんじゃないか」と感じるのは当然でしょう。
すなわち、性善説か性悪説か、という二択では決して解決しない問題がそこにはある、ということです。
▼エンゲージメントの基本は「性弱説」
ES(Employee Satisfaction=従業員満足)から会社組織と社員の関係は「エンゲージメント」に移行しているといいます。
エンゲージメントを一言で解説するのは容易ではありませんが、そもそも会社としては、「会社組織の期待」と「社員の指向性」がすり合わされ、結果双方の成長が実現される、というのが理想的な状態であると思います。
おわかりいただけるように「性善説か性悪説」で理想的な状態を作り出すことは困難です。そこで、オススメしたいのが、「性弱説」の考え方です。
社員の立場としては、「自宅だと集中力が上がらないときがある」「ついウトウトしてしまうかもしれない」といった「弱さ」、逆に経営者・管理者の立場としては、「サボっているんじゃないか」といった疑心暗鬼の気持ちが生まれる「弱さ」を、お互いに自覚しあう、ということです。
自覚しあう、といっても、別に申告しあう必要はありません。
「私はサボってしまいました」、「あなたのことをつい疑ってしまうときがあります」、などとハッキリ言いあうことも悪くはないですが、ずっと続けるわけには行きません。そうではなく、こういう「心の弱さ」を人間は内包しているんだ、という認識を前提として持つ、ということが重要です。
▼成果で評価?プロセスで評価?
在宅勤務が増えると、プロセスが見えないから成果でしか評価できないのではないか、欧米のような成果主義の人事評価制度を導入すべきではないか、というご意見もよく聞きます。
成果主義自体を否定するつもりは毛頭ありませんが、本音をいうと、日本型ともいわれるプロセス評価をゼロにすることに違和感や抵抗感を感じる方も多いのが現実ではないでしょうか。
では、これまでプロセス評価をしていたのに、「在宅勤務だからそれができない」のはなぜでしょう。会社オフィスにいるからといって、四六時中見張っているわけではないでしょうし、何の仕事をしているかよほど細かく報告を聞かない限りわかるわけありません。逆にいうと、在宅勤務の方が「何をしたか」をしっかりと記録できるので、プロセスの見える化は(そんなに苦労することなく)不可能でも非現実的でもありません。
▼本当に見えなくなるのは?
自身の体験も鑑みて考察すると、本当に見えなくなって困るのは仕事のプロセスではなく、社員の「気持ちのプロセス」ではないでしょうか。オフィスと在宅の最大の違いは「顔が見えるか見えないか」であり、経営者・管理者は、社員の顔を見ることで「気持ちを推測(充実しているか、疲れていないか、不満が溜まっていないかなど)」しているものです。
最近、WEB会議を導入する企業が増えていますが、それも上述した仮説を裏付けるもののように思います。
すなわち、「気持ちのプロセス」、今週どういう気持ちだったか、前向きに取り組めているか、悩み事がないか、などを顔を見なくても見えるようにする仕組みが必要ということになります。
ここでご紹介した『テレワークで成功するためのポイント』は以下の2つです。
◆「性弱説」で真のエンゲージメント(組織風土のベースづくり)
◆「仕事のプロセス」と「気持ちのプロセス」の見える化(仕組み化と運用)
いずれも、容易でありませんが、ぜひご参照ください。
「性善説か性悪説か」「成果主義かプロセス主義か」といった二択方式には正解がないことだけは間違いありませんので。
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