8tips社員が幸せな経営
中小企業は「ESG」より「パーパス」を経営に!
最近、金融機関や上場企業のキーワードとして挙げられるのが、「ESG経営」です。
ESGとは、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の頭文字を合わせた言葉です。世界はいま、地球温暖化や水不足などの環境問題、人権侵害や差別などの社会問題など、さまざまな課題に直面しており、その中で企業が持続的に成長するためには、ESGの3つの観点が経営においても必要だ、という考え方が世界中で広まっているのはご承知のとおりです。また、「ESGの観点がなければ投資や融資などをしない」という金融機関や機関投資家も増えてきており、特に上場企業においては企業価値向上の観点からも必要不可欠となっているのではないでしょうか。
一方で、中小企業の現状を伺うと、「大企業から義務としてやらされているだけ。形式だけお付き合いしている」とか、「うちにはその体力がないから関係ない話」、「将来は影響してくるだろうけど、今はまだ」など、少し距離を感じる経営者の発言をお聞きします。
事実、環境対策などは大きな投資が必要なケースも多く、中小企業にとって「当事者意識が持てない」のも仕方がないことと言えるでしょう。しかし、将来に向かって外部環境が変わっていくことがわかっているのに、今は何もしなくていいのでしょうか?もちろん、そうではないはずです。
そこで、中小企業が今すべきこととして率先して取り組むべきテーマとして、「パーパス経営」をあらためてご案内します。
「パーパス(Purpose)」を日本語に直訳すると、「目的・意図」という意味合いになり、「パーパス経営」とは、企業の存在自体の「目的・意図」を考えて経営するということです。
つまり、企業が何のために存在するのか、社会における企業の存在意義、言い方を少し変えれば、「どんな社会課題を解決するために企業は在るのか」ということを経営の中心に置く、ということです。
多額の投資が伴うこともある「ESG経営」は中小企業にはほど遠い部分がありますが、「パーパス経営」は地域の社会課題といった、中小企業にとってはより身近なテーマを扱うことも可能になります。
パーパス経営によって変化すること
パーパス経営を意識することで変わるのが、「志」をもつということです。
従前の経営では、「ミッション・ビジョン・バリュー」が大事とされてきましたが、「パーパス経営」では、「志・夢・信念」に変化しています。
前者は、外発的な要素を多く含んでいますが、後者は、内発的な要素です。
内発的ということは、「自社が何のために存在するのか?」「社会に対して何をしていくことが必要なのか?」を全社員で考えていく必要がある、ということです。
会社から指示を受けてするものではなく、「自分」で考えること。その視点が大切です。
ぜひ社員の皆様と上述の問いについて考えてみてください。
特に若手世代には、今より世の中を良くしたいという思考があると言われています。パーパス経営は、若手の採用に劇的な効果を生みます。採用時にも「自社はこんな業務」をやっているという話ではなく、「こんな社会課題を解決するために自社はある」と宣言してみると、採用者の顔がみるみる変わってくることを実感できるはずです。
もうひとつ大事なことですが、「パーパス経営」を実践していくと「評価」の考え方が変化していきます。
具体的に申し上げると、評価の対象が「個人の成果」から「社会課題解決に対するチームとしてのインパクト(貢献)」になっていきます。
社会課題の解決は、自分1人でできることには限界があります。さらにいえば、自社だけで不足するのであれば、地域にいる会社等と一緒に取り組むことが優先される、ということになります。
つまり、個々(個人や会社)の成果より、チームで大きな成果を出すこと、それに対してそれぞれが貢献していくこと、が自然と重視されることになります。
社員の意識を「売上を上げる」ことから「地域の社会課題を解決できているか」に変革させていくことができれば、「パーパス経営」が機能するようになり、若手も育ちますし、結果として企業としても長く存続していくことにつながります。
時代は大きく変わり、企業の姿勢スタンスそのものが問われる時代になっています。ぜひ「パーパス経営」を検討してみてはいかがでしょうか。
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