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8tips世界を駆ける経営

2019.10.18
世界を駆ける経営

中国への進出と撤退の留意点について

中国への進出と撤退の留意点について…

(写真=画像素材:PIXTA)

日本は今や少子高齢化と人口減少により、将来的なGDPの低下が懸念される事態に陥っています。一方で中国市場は大きな成長を続けており、直近5年間での経済成長率は年13%を超えています。今や総人口14億人にも達しようとしている膨大な規模と、著しい経済成長率を誇る中国市場は、私たち日本人にとっても魅力的に映ります。では、中国への法人進出と撤退は難しいのでしょうか。本稿では、チャイナリスクを中心に中国への法人設立のリスクについて考えてみます。

広がる中国市場とチャイナリスク

中国は2017年には12兆ドルもの経済規模に発展し、米国に次ぐ世界第2位のGDPを誇るようになりました。国内企業にとって、先細り感のある日本市場と比較すると勢いを増す中国市場は注目の的のように思えます。一方でいざ中国進出を果たした日本法人にはさまざまなリスクが生じます。「チャイナリスク」と呼ばれる現地進出のリスクは、大きく3つに分けられます。

1、生産管理で生じる「オペレーションリスク」
中国では事業を行うにあたり、生産販売や管理などで問題が発生することがしばしばあります。たとえば食品が古くなっているにも関わらず製造を行ったり、もしくは食品に農薬などが混入していたため、大きな問題となったりするケースなどが考えられるでしょう。

2、人に害が生じるおそれのある「セキュリティリスク」
中国では従業員や役員など、人に直接害が及ぶおそれのあるリスクも生じます。これはたとえば政治的な問題で反日デモが起こったケースが挙げられます。また不買運動なども同様でしょう。このほか、大陸が発生源と言われている鳥インフルエンザなどの各種病気などの問題もリスクに含まれます。

3、国全体の巨大な動きである「カントリーリスク」
社会主義国である中国は、政府が市場を管理していると言っても過言ではありません。このため、急激な為替変動や法律の変更などによる事業運営への問題発生などが考えられます。また、文化や慣習の違いが問題を生み出すこともよくあるケースです。

中国への進出は難しい?

上述のようなリスクがあるため、日本企業の中には中国進出に関して及び腰になっているところもないわけではありません。しかしリスクがある一方で、約14億人もの市場でシェアをしっかり取った国内企業は無数に存在しています。日本市場の先行きを考えると、リスクがあるからと言って中国市場に対してずっと手をこまねいているわけにもいきません。では実務的な視点で臨むと中国への進出は難しいのでしょうか。

結論から述べると、中国への進出は企業や経営者単独で行うにはハードルが高いというのが回答です。たとえばビザの取得ひとつとっても、日本と中国双方における複数の行政機関への手続きが必要になります。

法人設立に関しては、それらに加え、現地の銀行や税関などへの手続きも求められるため、はじめての海外進出を単独で行うには荷が重いと言わざるを得ません。一方で法人設立に関しては、専門家に依頼すればそのままワンストップで設立をしてくれるため、「専門家に頼めばとても簡単である」というのも答えと言えるでしょう。

中国は進出よりも撤退に難あり

では専門家に法人設立を委任したうえで上述のリスクにも十分配慮をしたとして、中国進出は問題ないのでしょうか。実はもう1つリスクが残っているのです。それは「撤退リスク」です。

中国でのビジネスは進出よりも撤退が難しいと言われています。実際にあったケースとしては裁判所から撤退の許可が降りないという問題です。中国では、事業を清算するにも裁判所からの許可が必要で、規模の大きな事業ほど清算の許可を出したがりません。このため国内大手の企業の中には、数十円といった金額で事業を現地企業に譲渡しなければならなかったケースもあるのです。

また人的リスクもあります。事業撤退の際、これを不服とした現地従業員によって日本人経営者が軟禁されてしまったというケースがあります。経営者の身柄にも危害が及ぶおそれがあるうえ、撤退の手続きもできないことから、莫大な負債を背負って命からがら日本に逃げ帰るような事態も考えられます。チャイナリスクは設立や事業運営よりも撤退時に生じやすいと知っておくことが大切です。

中国への進出と撤退は専門家への相談でリスク軽減

中国市場は大きな魅力であると同時にさまざまなリスクが見え隠れする危険地帯でもあります。中国でビジネスを考える際には、法人の設立から事業運営や撤退に至るまで専門的な知識を持つコンサルタントなどに相談することで、リスクを軽減することも視野に入れておくとよいでしょう。

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