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【深圳レポート】今年のグローバルユニコーン企業番付、深セン勢は如何に
※本記事は、深圳イノベーションセンター(MICS)
2022年8月30日に、中国の胡潤研究院(The Hurun Research Insti-tute)は、「2022年中期グローバルユニコーン企業番付」を発表し、グローバル全般において、2000年度以後に設立且つ時価総額が10億ドル以上の未上場会社リストを発表した。
中国のユニコーン企業は312社で、世界2位
当該番付によると、2022年6月現在、世界のユニコーン企業数は半年で254社増えて1,312社となっている。なお、ランクインされたユニコーン企業の時価総額は27.9万億人民元で、半年で18%増加し、これはドイツ1年間のGDPを上回る金額である(ドイツ、2021年のGDPは3.57万億ユーロで、約24.57億人民元である)。
ちなみにユニコーンの創業者の平均年齢は44歳で、うち3分の1は連続起業家である。
◆ 国別
ユニコーン企業は48カ国から生まれており、このうち、アメリカが625社でトップ、138社が新しく加わっている。中国は312社で第2位、11社が新しく加わっていて、そのほかの国と地域が375社である。時価総額評価額からみると、米国のユニコーン企業の評価総額は12.4万億元で、中国のユニコーン企業の評価総額は8.5万億元となっている。
◆ 都市別
ユニコーン企業は259カ所の都市に所在する。サンフランシスコが25社増の176社で、引き続き世界トップに君臨している。ニューヨークは、35社増の120社で、北京に変わり2位を勝ち取った。北京は90社で第3位、上海は69社で4位を維持、ロンドンが39社で5位に浮上し、深センとバンガロールはそれぞれ33社で6位となっている。
◆ 業界別
業種別では、FinTechが168社で業種別トップとなっている。次に、Eコマースが127社、ソフトウェアサービスが127社、ヘルステクノロジーが97社、人工知能が94社、サイバーセキュリティが61社、ブロックチェーンが52社となっている。 一方、フィンテック分野のユニコーン数が最も早く伸び、ブロックチェーンとエンタープライズサービスが後を追っている。
評価額上位10社のうち、5社が中国企業
世界のユニコーン企業上位10社の時価評価総額は、全体の17.6%を占めている。このうち、中国が5社、米国が3社、英国とマルタが各1社である。
→ 2012年に、北京で設立されたDouyinは、独占禁止法など業界の規制により評価額が2兆3千億元から1兆3千億元に目減りしたにも関わらず、世界で最も価値のあるユニコーン企業として君臨している。Douyinの海外版である「TikTok」の月間アクティブユーザー数は12億人である。
→ 杭州に拠点を置くAnt Groupは1つ順位を下げて3位、評価額は8,000億元である。2014年にAlibabaからスピンオフしたAnt Groupは、2019年と2020年に世界で最も価値のあるユニコーンだったが、その後、独占禁止法などの規制により300億米ドルほどの評価損がでている。
→ ファストファッションで有名な越境EC企業のSheinは評価額4000億元の5位で、当社は小売業における消費のパーソナル化・多様化の流れに対応した革新的かつ柔軟なサプライチェーンシステムを有している。
→ 深センのWeBankは評価額が200億元増の2200億元になり、3つ順位を上げて8位となった。2014年に設立され、Tencent以外にウォーバーグ・ピンカス、テマセクHDも出資している。昨年は売上高270億元弱、純利益68億元強を達成し、売上高、純利益ともに前年比30%強の伸びを示している。
→ 北京のJDT(JD傘下企業)は評価額2000億元を維持し、2つ順位を上げて9位となった。 旧JDデジタルテクノロジーとクラウド&AIテクノロジー事業部門を統合した京東テクノロジーは、現在、JDグループ全体が外部にテクノロジーサービスを提供するための中核的なアウトプットプラットフォームとなっている。
グレーターベイエリアには62社、うち深セン勢が半分の33社
広東・香港・マカオのグレーターベイエリアでは、合計62個のユニコーン企業が分布しており、深センに33社、広州に19社、香港に7社、珠海に2社、東莞に1社となっている。
深センのユニコーン企業の業種は比較的分散しており、15種類に及んでいる。ヘルステック、半導体、人工知能、消費財(電子消費を含む)がそれぞれ4社と最も多く、次いで物流、小売(新小売を含む)がそれぞれ3社、そのほかはフィンテック、ロボット、電子商取引などである。
広州は、中国で最もユニコーン企業の成長が早い都市であり、2021年の10社から2022年度の上半期には19社とほぼ倍増した。ランクインした企業は、食品業界が3社、eコマース、半導体、人工知能がそれぞれ2社、そのほかは新エネルギー自動車、企業向けサービス、産業用インターネットなどの分野に携わっている。
深セン・広州のユニコーン企業の業種から、金融技術、ソフトウェア・サービス、eコマース、企業向けサービス、バイオテクノロジーなどが、ユニコーン企業を生みだす人気産業となっていることが再度検証されている。
なお、グレーターベイエリアのユニコーン企業が表しているのは、新型コロナ感染症という背景において、グローバル経済が提示する新しいトレンドの縮図である。また、ライフスタイルの劇的な変化も反映している。例えば、在宅勤務、新エネルギー車の普及、オンライン決済の定着などである。例えば、中国における新エネルギー自動車の普及率は2022年上半期で28%に達していて、深センの場合は50%を記録している。
また、「変化があるところにチャンスがある」という言葉の通り、多くのユニコーン企業が生まれている。決済システムやネットワークセキュリティなどの金融サービスとバイオテクノロジー、ヘルステクノロジー、バイオメディシンなどのヘルス分野である。また、これらの新しい領域のユニコーン企業は、金融サービス、経営管理、ヘルスケア、小売の分野でも変革を起こしていくに違いない。
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