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2021.08.20
最大効率の経営

採算管理とプライシング(価格設定)

採算管理とプライシング(価格設定)…

会社内で製品や商品、あるいは得意先ごとの採算を正しく把握し管理しているでしょうか。中小企業の場合、例えば原価計算システムが組まれていないなどの理由で、1つ1つの製品までは採算を把握できていないことも多いと思います。

 

アイテムごとの採算、つまりそのアイテムがどれだけ儲かっているかを把握することは、会社全体の収益性を検討したり、原価改善を図ったりする上で、必須事項の1つです。

 

それでは、プライシング(価格設定)はどのようなプロセスで行われているでしょうか。例えば製造業において、製品ごとの採算を算出していない場合、プライシングは受注の際の見積もりによる場合が多く見られます。すなわち、材料費、作業工数、労務賃率、機械賃率などから原価を積み上げ計算し、これに利益を上乗せした金額で売価を設定する方法です。この金額をベースに、得意先からの要求金額や競合との比較を考慮し、最終的に売価を決定する流れです。

 

さて、製品を生産して販売した後のことです。この製品は実際どれくらい儲かったでしょうか。このとき、製品ごとの採算を算出していなければ、当たり前ですがどれくらい儲かったのかがわかりません。狙った利益が出せたのか、見積もった原価どおりに仕上がったのかが把握できないのです。もしかしたら想定よりずっと低い利益率、最悪の場合は赤字という結果になっているかもしれません。そしてそのことに気づかずに、また同じ感覚で次の製品を受注し生産して販売するとどうなるか。もしこれが量産品で継続的に生産する場合はどうなるか。知らず知らずのうちに会社の利益を圧迫することになります。

 

そして、原価の把握とともにもう1つ重要なのが、売価が適当だったのか、すなわちプライシングの問題です。例えば、原価が見積もりより高かったとしても、見積もりが甘かっただけで一定程度の原価を要することがやむを得ない場合、売価設定が低かったということも考えられます。また、量産品の場合、当初から時間が経過して材料相場が高騰していたり、燃料費や物流費が上がっていたりと、原価が上昇していて応分の値上げを行わないと利益を確保できないということもあり得ます。つまり、製品ごとの採算を算出していなければ、適切なプライシングができないということです。

 

売価を上げやすいタイミングとしては新たな取引先や新規製品を投入するときが挙げられますが、継続した取引先や製品でも値上げに成功している例は多くあります。よく、「得意先に取引を切られちゃうから値上げなんてお願いできないよ」という声を聞きます。確かに価格競争の激しさなどもあり、値上げは簡単ではないかもしれません。しかし、製品にかかる原価を集計し、原価上昇要素をきちんと説明したところ、値上げを受け入れてくれたという事例を数多く見ています。

 

このように、採算管理はプライシングにも大きく寄与するものとなります。意思決定のための情報提供ができる精度水準で、製品ごとの採算の把握に努めたいところです。

 

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