Regional Transformation地域創生
2025.05.07
「官と民と」をつなぎ、実行しつづける地域創生へ ~元行政職員の志ある挑戦~
2025年4月某日、地元新聞を何気なく読んでいると「元札幌市係長3人、スタートアップ立ち上げ」という記事が目に飛び込んできました。「札幌市を3月末に退職した元係長3人が、官民連携の窓口となるスタートアップ(新興企業)を立ち上げ」という文章とともに、見知ったお顔が代表者として紹介されていました。「この方が動くなら、必ず面白いことが起こるはず!」というワクワクを胸に、創業したばかりのカントミント株式会社 代表取締役CEO 中本大和 氏にお話を伺いました。
札幌市職員時代 ~ 行政の「内」から見えた、地域創生の厚い壁
札幌市は、毎年“NoMaps”というイベントが開催されていたり、北海道とともに運営する“STARTUP HOKKAIDO”でスタートアップを支援したりと、地域発の起業や事業連携に力を入れている街です。以前、コラムでもご紹介した北海道大学発のビール製造会社パイオビアをはじめ、「北海道」という地域の個性・特色を生かした会社も次々に生まれています。子ども向けの職業体験・起業イベントも盛んに開催されており、私自身もよく我が子と一緒に参加するのですが、そのような地域創生や起業関連のイベントには、必ずといってよいほど、中本氏の姿がありました。
常にやわらかい笑顔と強いエネルギーをふりまき、多くの人と関わりあう中本氏に対しては、札幌あるいは北海道の成長発展に不可欠な存在だと勝手ながら尊敬の想いを抱いていました。しかしその裏では常に、一行政職員としての強い葛藤を抱えていたそうです。それは、情報やネットワークをもつ行政と、専門性や技術力をもった民間とが「お互いを知らなさすぎ」、「同じ志をもちながらも厚い『壁』の両側でもがき、継続的な実行性や成果につながりにくくなっている」、という「地域創生の厳しい現状」でした。
志をもって「外」へ ~ つなぎ役としての恩返し
中本氏とともに起業した簑島氏と伊藤氏は、札幌市に入職した時期も経歴もバラバラですが、官民の壁について同じ課題意識を持ち、熱い議論を交わす仲だったそうです。そんな3人の立ち上げたカントミントの企業理念は「地域にはそれぞれの幸せがある」。地域に住み、働く人たちが幸せを感じることができるように、官民連携事業の推進、公共事業の拡大や効率化サポートなど、元行政職員としてのノウハウを存分に活かした事業活動をおこなっています。また、今後は自治体や地域企業の人材育成にも力を入れていきたいとのことです。
安定した生活を自ら捨てて外に出て、官と民を隔てる「壁」を壊すために先陣をきって挑戦する姿、また、決して行政を批判するのではなく「札幌市にも恩返しがしたい」という言葉に胸が熱くなりました。
まとめ ~ 地域創生をともに目指して
中本氏との話では、地域交通や水道などの社会インフラに関する課題、個別の自治体や企業に関する支援の可能性など、大いに盛り上がりました。別々の会社、立場から、ともに地域創生の実現支援を目指す同志に共感を感じたことが何よりうれしい時間でした。
一方で「外から来たコンサルティング会社がどれだけよい計画を作っても、地域の方が実行・継続していかないといけない」という中本氏の言葉は、地域創生支援を目指すみらいコンサルティングとしても肝に銘ずべきであり、全国各地に実行拠点を増やしていかなければと奮起させるものでした。
元行政職員という3人の特異なプロフェッショナルが立ち上げたカントミント、地域に住む人々が幸せを感じられる、そのための支援をおこなう同社の取り組みは、これからの時代の地域創生において重要な役割を果たしていかれるのではないでしょうか。
インタビューを快く引き受けて頂いた中本さま、ありがとうございました。
北海道新聞
元札幌市係長3人、スタートアップ立ち上げ 自治体と民間マッチング 「DXノウハウも伝えたい」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1145595/
<執筆者>
北海道地域創生プラットフォーム株式会社(HPR2)
吉田 慶太
- 北海道地域創生プラットフォーム株式会社(HPR2)
【北海道地域創生プラットフォーム株式会社(HPR2)の取り組み】
・ IPO(株式上場)水準の組織体制構築支援を通じた地域雇用と富の循環の創出
・ 各種コンサルティングサービスを通じた道内中堅中小企業の生産性向上
・ 再編・M&A・承継支援を通じた地域産業や地域雇用の維持発展
・ 人事・労務サービスを通じた働きがいがある魅力的な企業づくり
・ 地域で核となる経営人財の育成支援を通じた地域創生の自律化推進
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