8tipsリスクに備える経営
- 2022.11.09
- リスクに備える経営
会社を変える機会に!~足元の税務調査からのヒント
最近、企業や企業グループに対して行われる税務調査にお客さま代理人として立会をすることが多くなりました。税務調査で緊張しない方はいないと思いますが、最近の貴重な体験から得られたヒントであり、企業や企業グループを変えていくきっかけとなる内容をご紹介したいと思います。
(1)財務経理部だけで対応する時代の終焉(全部署が関係する意識を持とう)
企業や企業グループの税務調査の窓口となるのは、これまで「財務経理部」担当の方であったと思います。最近の税務調査でも主担当は変わらずそうですが、変わった点は「営業部や調達部、生産管理部、技術管理部」などの部署の役割に着目し、企業や企業グループの業務の流れ(商流図)をヒアリングして、作成される書類や保管場所を確認のうえ、担当部署に確認するようになっていることです。
元帳や証票といった結果書類ももちろん大切ですが、意思決定や業務指示のプロセスを重視していることがうかがえます。特に「例外処理」は必ずなぜそうなったのかの確認が入ると考えてください。
部署ごとの業務の流れ(商流図)を今一度点検し、原則的に行うと決めた処理が行われているか、プロセスに無駄や無理がないか、勝手に省略されていることはないか、この機会にぜひ確認いただけたらと思います。
(2)稟議書・決裁書に「抜け・漏れ」は厳禁(記録に残すことを馬鹿にしない)
最近の税務調査で「意思決定書類(稟議書決裁書)」があるはずなのにない、と指摘されることがあります。特に「資産の廃棄や除却の決裁」がこれに当たります。このようなところにも「意思決定プロセスがわかるものがきちんと残っているか」ということが問われているということです。
設備投資の際、購入の際など「お金を支出する際の決裁」はまずもって残っています。ところが「一旦導入したものをラインから外す、捨てる決裁」というものが片手落ちになっているケースは、非上場企業の場合、それなりの規模の優良企業でも見られます。
買う、使う時ばかりでなく、「今あるものを捨てる、あきらめる」ときこそ意思決定のプロセスを残すようにしてください。「今あるものを大事に使う」ことを企業文化として醸成するうえでも大事な内容とご理解いただき、真摯なお取り組みをお勧めいたします。
(3)企業や企業グループのパーパスを「各人、各部署が正しく認識する」(「バレなければいい」後ろめたさは、仮装隠蔽につながる)
最近の税務調査では「事実は何だったのか」ということを大事にするようになっています。だからこそ、「財務経理部のみならずわかる部署に確認」し「稟議書決裁書の存在が重要になる」ということです。
ここで問題になるのが、「最終の注文書ではこういう発注内容になっているが実はですね・・・」ということが、「責任部署の議事録」「関連部署の議事録」で明らかになってくることが多いという点です。この内容にもよりますが、「実は・・・ということを、書類上は・・・ということで」という行為、これが税務調査において「仮装隠蔽の事実が認められ」という言葉とともに、重加算税というペナルティにつながる行為となります。
どんなに素晴らしいパーパスや理念がある企業や企業グループであっても、「それを達成するためにバレなければいい」という意思決定や判断が加わると、貢献意識がゆがんでしまったり、倫理観に反した行動をとってしまったり、場合によっては法令違反につながったりするということです。
重加算税の対象になるような項目が出るということは、企業や企業グループにとってパーパス充足の上で黄色信号、場合によっては赤信号が出ているということになります。
いかがでしょうか。
税務調査というと誰しもが「緊張する」「いくら追加で払わないといけないのか」と考えがちですが、大事なことは「企業や企業グループ全体を挙げての意思決定プロセス、取り組みが正しく、後ろめたさがない意識を常日頃からもって」、「業務に取り組んでいることを見てもらう」ものであるととらえ、調査に臨むことだと考えます。
ぜひ皆さまのお役に立てば幸いでございます。
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