8tipsリスクに備える経営
- 2024.09.11
- リスクに備える経営
最低賃金の上昇!賃上げ圧力への対応策は?
2024年8月29日に、本年度の地域別最低賃金の改定額が公表されました。それによると、改定額の全国加重平均額は1,055円(昨年度1,004円)、全国加重平均額の引上げは51円(昨年度43円)となり、1978年度に目安制度(毎年、47都道府県をランク分けして地域別最低賃金額の改定目安を提示する制度)が始まって以降で最高額となりました。想定していたとはいえ、最低賃金上昇への対応に苦慮されている経営者も多いのではないでしょうか。
最低賃金とは
最低賃金とは、使用者が労働者に支払うべき賃金の最低額をいい、最低賃金法において、使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされています。
最低賃金法第1条(目的)において、「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と定められています。
また、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」において、労働生産性の引上げ努力等を通じ、2030年代半ばまでに最低賃金額が1,500円になることを目指す目標金額が設定され、より早く達成できるよう、中小企業・小規模企業の自動化・省力化への投資や、事業承継、M&Aの環境整備等について、官民連携して努力する旨が示されています。
最低賃金の上昇による人件費インパクトを検証
最低賃金の上昇による経営へのインパクトはさまざまあげられますが、直接的に人件費の増加をもたらします。
本年度の全国加重平均額は1,055円ですが、たとえば、2035年には1,500円になることを予想することもできます。この場合、労働者1人あたりに支払う最低賃金ベースの金額は、次のとおり上昇する見込みです。
上記はあくまで最低賃金ベースの金額のため、一般的に対象となるのはアルバイトなどの非正規社員であり、正社員の初任給などについては当然これよりも高い水準が求められることとなります。現状の正社員の初任給をあてはめると、最低賃金上昇の経営に与えるインパクトが、より具体化されると思います。
最低賃金の上昇に伴う人に関する経営課題
最低賃金の上昇による人件費増加が見込まれるなか、10年後の原資確保のために今から取り組むべきことは、たとえば、次のような経営課題を整理しながら、それぞれ対策を講じることが考えられます。
コスト構造の見直し
コスト構造全体を見直し、効率化や無駄の削減を検討する。たとえば、業務プロセスの自動化や外注化、業務フローの見直しをおこなうことで、労働コストを抑制する方法を探ることが考えられます。
利益率の改善
最低賃金の上昇を吸収するために、利益率の改善を図る。たとえば、仕入れコストの交渉や、サプライチェーンの見直しによって、費用削減を図ることができます。
価格戦略の再評価
人件費の増加を反映して価格設定を見直す。ただし、単純に価格を引き上げるだけではなく、顧客に対する付加価値を高める提案が重要です。また、下請け企業に対する取引全般の改善は社会的にも推進される傾向にあるため、元請け企業に対する適正な値上げ交渉も不可欠です。
人材の質の向上と適正配置
個々の労働者がより高い生産性を発揮できるようにする。これには、教育の充実や、適材適所の人材配置が含まれます。最適な知識や経験を持つ人材を確保し、労働者の能力を最大限に引き出すことが求められます。
労働時間と働き方の最適化
効率的な労働時間管理やフレキシブルな働き方を導入することで、人件費を抑制しつつ、労働者の満足度と生産性を維持する。たとえば、リモートワークの活用やシフト管理の最適化などが考えられます。また、年間休日数の増加は総労働時間を減少させる効果が期待され、時間によって定める最低賃金の対策としては有効になります。ただし、リモートワークなどはイノベーションを生み出すような業務には向いていないこともありますので、自社のビジネスモデルに合った適切な運用にご留意ください。
補助金や助成金の活用
政府や地方自治体から提供される補助金や助成金を活用して、人件費増加の負担を軽減する。これらの資金を効果的に活用することで、経営にかかる圧力を一時的に緩和できます。
いかがでしょうか。
みらいコンサルティンググループでは、人に関わるあらゆるご支援はもちろんのこと、総合的な経営課題への伴走支援もおこなっていますので、お気軽にお問い合わせください。
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