8tips右肩上がりの経営
2024年版中小企業白書から考える「求職者目線での言語化・情報発信」の重要性
2024年版中小企業白書(「令和5年度中小企業の動向」及び「令和6年度中小企業施策」)が2024年5月10日に閣議決定され、中小企業庁から公表されました。
2024年版中小企業白書のポイント
中小企業庁がまとめた本白書のポイントは以下のとおりです。
出所:経済産業省ホームページ
今回の白書では、中小企業の人手不足が深刻化しており、就業者数の増加が見込めないなかで、国際競争力を維持するためには「生産性の引上げ」が必要であると総括しています。そのなかで「生産性の向上」につながり得る投資行動として、「人への投資」「省力化投資」「設備投資」「M&A」「イノベーション活動」「海外展開」に焦点をあてて、期待される効果や有効な取り組みについて分析しています。
また、2020年以降は成長に向けた投資に意欲的な中小企業は増加しており、業績向上だけでなく事業継続や従業員への還元を重視する傾向が見られること、および、投資行動に積極的な企業ほど「売上高」「経常利益」「労働生産性」「従業員数」の増加につながっている傾向があることを示唆しています。
更に「刻々と変化する外部環境に対応するためには、小さな取り組みでも行動していく姿勢が経営に良い効果を与えている」と指摘しており、「実行力」「継続力」の有無が企業間の業績や組織の成長格差として顕著に現れてくるのではないでしょうか。
求職者目線での「言語化・情報発信」の重要性
白書のアンケート調査において「最も優先度が高い経営課題」のトップは「人材の確保」という結果でした。
更に白書では「人材の確保」に対する有効な打ち手を「採用・育成・定着」の3つの視点で分析していますが、そのなかで一番興味深かったのは「採用」に関する「採用面接で自社から伝えている内容」の調査でした。
調査結果は下表のとおりですが、「給与体系」「休暇制度・福利厚生」という、いわゆる「処遇」については8割超の企業が伝えている割合が高い一方で、それ以外の会社の事業や組織に関する「本質的なこと」については3~4割程度しか伝えていない企業が多いことが分かります。実際に現場でも経営者や幹部の方から「処遇」を中心とした話題を伺うことが多く、実態に近い結果であるように感じています。
「企業が伝えていること」と「求職者が知りたいこと」との間にギャップが生じているのであれば、中小企業全体が採用がうまくいっていない原因のひとつであるように思います。逆にいえば、処遇以外の「本質的な価値」を求職者にしっかりと伝えることができれば、大手や他社との差別化につながり、今よりも採用がうまくいく可能性が高まると思います。
出所:経済産業省ホームページ
たとえば、経営者や幹部の方に「貴社の事業や組織の価値や魅力を一言でいうと何ですか?」と質問させていただくことがあるのですが、端的に明確に答えられない企業は少なくありません。自分たちにとってあたり前なことほど、意外と言語化がされておらず、第三者にうまく説明できていないのかもしれません。
会社の「本質的な価値」の言語化と発信の必要性を理解しているものの、ついつい後回しになっていませんか?
将来ビジョン・事業戦略の実行・実現や生産性向上に必要な人材を継続的に確保するために、社内で「求職者が知りたいこと」の言語化と発信がしっかりできているかどうかについて議論してみてはいかがでしょうか。
2024年版中小企業白書の詳細は、経済産業省のホームページに掲載されていますのでご参照ください。
また、みらいコンサルティングでは、企業の価値発掘・発信・浸透、採用デザイン、人材育成など「人や組織」に関するご支援をおこなっていますので、お気軽にご相談ください。
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