8tips右肩上がりの経営
中小企業白書から考える。経営理念・ビジョンの社内浸透をどう高めるか?
2022年4月に中小企業庁から「2022年版中小企業白書」が公表されました。
今回の白書の特徴として「企業の成長を促す経営力と組織」をテーマに、アフターコロナを見据えて中長期で成長を目指す中小企業が、自らの潜在的な成長可能性を引き出す上で重要な取り組みがアンケートや事例を交えて考察されています。
その中で、中小企業の経営力を高める取り組みとして「経営理念・ビジョンの組織における浸透」を取り上げており、「全社的に浸透している」と評価している企業ほど、業績にもプラス効果が生まれている可能性があると指摘しています。
「全社的に浸透している」つまり幹部・社員の自律的な行動に結び付いていることが、組織で成果を上げるために重要であると示唆しています。
「経営理念・ビジョン」が浸透しないのは取り組みだけの問題?
白書のアンケート結果(下表)を参考に、「全社的な浸透度合が高い」と評価している企業の多くが取り組んでいる施策を、自社に取り入れてみることもいいと思いますが、それだけで本当に「浸透度合」を高めることができるでしょうか?
実際に経営者からは「あれこれ取り組んできたけど、思うように幹部や社員が動いてくれない」という悩みを伺うことが少なくありません。また取り組みだけを増やすことで、かえって幹部や社員の負担感が増し、士気を下げてしまうことも懸念されます。
もし、「全社的な浸透度合が低い」と感じているとしたら、やみくもに取り組みを見直す前に、浸透しない根本的な原因について一度立ち返ってみることが重要ではないでしょうか。
経営理念・ビジョンへの「共感・共鳴」を高めるために
中小企業白書でも、「浸透度合」を高めて幹部・社員の自律的な行動に結び付けるためには、経営理念・ビジョンに対する「共感・共鳴」が重要だと指摘しています。
「全社的な浸透度合が低い」と感じる原因は、今ある経営理念・ビジョンそのものに「共感・共鳴」が得られていない可能性も考えられ、そうであればどんなに取り組みを見直したり、増やしても思うような成果を得ることはできません。
では、どのようにすれば経営理念・ビジョンへの「共感・共鳴」を高めることができるのでしょうか?特に大切だと考えるポイントを3つご紹介します。
当事者意識の醸成
経営理念・ビジョンは「トップダウンで策定・決定するもの」という考え方は決して間違いではありませんが、次世代幹部候補や現場感覚を持ったキーパーソンを主体者として策定に関与させることで「自分たちが創ったもの」という当事者意識を高めること。
ワクワク感の演出
ビジョンの内容は自由ですが、「現在」を起点に、今ある事業や業績の延長線上を描いた内容も少なくありません。これもビジョンではありますが、社員自らが心底、目指したい、実現したいと思えるワクワクする「将来像」を示した内容であること。
未来を創る行動の促進
「現在」の業務への貢献だけでなく、経営理念・ビジョンを実現するための「未来」を創る行動を促進するために、その貢献価値を評価する風土、仕組みがあること。
複雑で先が読めない時代の中で持続的な成長を実現するために「経営理念・ビジョン」を拠りどころとした経営の重要性がますます高まっています。もし「思うように浸透しない」という課題感をお持ちでしたら、まずは「HOW(どうしたらいいか)」ではなく「WHY(なぜそうなのか)」について考えてみることをオススメします。
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