会社の「本当の価値」とは? 非上場株式の評価方法見直しがもたらす未来
いま、非上場株式(取引相場のない株式)の相続税・贈与税に関する評価方法が、大きな見直しの局面を迎えています。
国税庁の有識者会議では、「いまのルールが会社の実態をどこまで適切に表しているか」「事業承継やM&Aの現場で使いやすい仕組みになっているか」が議論されています。評価額のばらつきや計算の複雑さを見直しつつ、会社の収益力をどう反映するかが論点となっており、今後は評価制度の見直しと事業承継税制を一体で整理していく方向も示されています。
税金だけの問題じゃない!中小企業を取り巻くリアル
この見直しが注目される背景には、中小企業を取り巻く環境の変化があります。
経営者の高齢化や後継者不足が進むなか、親族内での引き継ぎだけでなく、第三者への売却(M&A)を選ぶケースも増えてきました。また、相続によって株式が分散し、後継者がそれを買い集める場面も珍しくありません。
こうした状況では、非上場株式の評価は単なる「相続税の申告」だけの問題ではなくなっています。市場価格がない株式だからこそ、「税務上はいくらとみるか」が、親族間の売買や会社による買い取りなど、関係者が話し合う際の重要な目安になるからです。
なぜわかりにくくなっている? 評価ルールと「時価」のギャップ
ところが近年、この評価をめぐる実務はかなりわかりにくくなっています。
非上場株式の税金計算に使う株価について、税務署が「通常の計算では実態に合わない」として別の評価をおこない、その妥当性が争われるケースもでてきました。
相続税の評価方法は、あらかじめ決められた計算ルールにもとづきます。そのため納税者側も、その枠内でできるだけ有利になるよう財務内容などを調整しようとすることがあります。しかし、その調整が行き過ぎて「不当に株価を下げるため」と判断されると、国税側との見解の相違が表面化してしまうのです。画一的なルールがあるとわかりやすい反面、個々の会社の実態との間に「ギャップ」が生じるのです。
もともと税務上、財産の評価は「時価」で考えるのが原則です。ただ、非上場株式については、単に会社の値段を「機械的に」計算するだけでなく、中小企業の事業承継を円滑にする役割も期待されてきました。株価が高くなりすぎると、後継者に重い税負担がかかり、会社を引き継ぐこと自体がむずかしくなってしまうためです。
たとえば、昭和58年の改正では、小規模な会社でも資産だけでなく収益性を加味できる方法が使えるようになり、実質的な評価引下げがおこなわれました。こうした調整は承継支援として役立ってきた一方で、「どこまでが本来の会社の値段で、どこからが政策的な配慮なのか」をわかりにくくしてきた面もあります。
「実態に近い評価」と「税負担の軽減」をどう両立するか
いまの議論で重要なのは、このゆがみを整理することです。
会社が今後も事業をつづける前提で考えるなら、価値は手元の資産だけでなく「将来どれだけ利益を生み出せるか」で決まります。一方で、税務上の評価には、全国一律でわかりやすく、公平に計算できることも求められます。
実態に近い評価と、税務上のわかりやすさをどう両立させるか。これが今回の見直しの核心です。
ただし、会社の本来の価値に近づけた結果、株価が上がって事業承継がむずかしくなっては本末転倒です。そのため、評価方法の見直しだけでなく、事業承継税制の拡充や使いやすさの改善とあわせて考えるべきだという意見も強く示されています。
「評価はできるだけ客観的で納得感のあるものにし、承継時の税負担は別の支援策で支える」――そんな役割分担が、今後いっそう重要になるのではないでしょうか。
会社の「本当の価値」と企業の未来に向き合う
非上場株式の評価見直しは、単なる専門的なルール改正ではありません。「会社の本当の価値をどう考えるか」と「中小企業をどう支えるか」をわけて考え直す大事な議論です。
地域の雇用や経済を支える企業が、わかりにくい評価や過重な税負担によって将来を閉ざされることがないよう、納得感のある評価と実効性のある支援策の両立が求められています。
一方、価値の評価方法がまだどうなるかわからないからいまは何も検討できない、というのは本末転倒のような気もします。未来に向けて自社の価値を高めていくために今できることはなにか、そんな視点の転換も大事だと思います。何かございましたらいつでもご相談ください。
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