2027年1月施行「賃貸不動産の5年ルール」
みなさま、個人の資産防衛について、どのような準備を進めていらっしゃいますか。2024年に大きな話題となった「タワーマンションの節税規制」に続き、令和8年度(2026年度)の税制改正において、新たなルールが決まりました。それが、2027年1月1日から施行される「賃貸不動産の5年ルール」です。この改正は、従来の評価方法や取り扱いと大きく異なる無視できない重要な内容となっています。何が変わり、どのような備えが必要なのか、専門用語を抑えてわかりやすく解説します。
何が変わるのか? 改正の全体像を把握する
一言でいえば、「相続の直前に不動産を買い、税金計算上の価値(評価額)を大きく下げる手法」が実質的に使えなくなります。たとえば、現金のまま持っているよりも、不動産に変え、さらに賃貸に出す方が税金の計算上で有利になる仕組みがありましたが、その「駆け込み」の対策に厳しい制限がかかることになりました。
具体的な変更点は、大きく分けて以下の2つです。
| 対象項目 | これまでのルール | 2027年1月からの新ルール |
|---|---|---|
| 購入から5年以内の賃貸用不動産 | 実際の取引価格より低い「路線価」などで計算され、さらに他人に貸していれば大幅に評価額を下げられました。 | 原則として「実際の価値(時価)、または購入価格などの80%」で計算されます。評価額がこれまでの倍近くに跳ね上がるケースもあります。 |
| 不動産小口化商品(少額から買える小口資産) | 手軽に購入でき、通常の不動産と同じように低い評価額で計算する効果がありました。 | 保有期間にかかわらず、すべて一律で「実際の価値(時価)」で計算されます。節税としてのメリットは、ほぼなくなります。 |
前回の改正は「居住用のタワーマンション」がターゲットでしたが、今回は一般的な一棟マンション、アパート、さらには「商業ビル」や「オフィスビル」などの賃貸用不動産が広く対象になります。そのため、賃貸目的の不動産を保有・検討している方への影響は非常に大きいといえます。
今から取るべき3つの行動
この大きな変化を乗り越え、大切な資産を守るために、今から準備しておくべきアクションは次の3つです。
- 【アクション1】不動産を活用した戦略は「5年以上の長期目線」へシフト
逆に言えば、購入してから「5年を超えて」持ち続けていれば、これまで通り低い評価額での計算が認められます。みなさまが元気なうちに、ゆとりを持ったスケジュールで、5年以上保有することを前提とした「超長期の投資・資産運用」へシフトしていく必要があります。意思決定のスピードを早め、健康なうちに行動することが求められます。 - 【アクション2】すでに保有している「5年超の優良資産」の再確認
すでに取得してから5年以上が経過している賃貸不動産は、今回の新しい規制の対象外となります。これらは現在でも高い評価減の効果を維持している貴重な資産です。目先の利益にとらわれて安易に売却せず、資産ポートフォリオ(組み合わせ)のなかで、長期保有を基本として大切に守っていくべきです。 - 【アクション3】最悪のシナリオを想定した「キャッシュ(現金)」の再点検
万が一、不動産の購入から5年以内に相続が発生した場合、高い評価額で課税されるという厳しい条件で、一度税金の計算をやり直してみてください。そのうえで、ご家族の手元に、税金を一括で支払えるだけの十分な現金や生命保険などの資金が確保されているかを確認しておくことが、最大の防御となります。手元のキャッシュを厚くしておくことの重要性がさらに高まったといえます。
早めの現状把握が、家族を守る「防波堤」になる
税金や法改正のルール見直しは、日々の業務に追われるなかで後回しにしたくなるかもしれません。しかし、直前になってからでは、今回の「5年ルール」によって打てる対策が著しく制限されてしまいます。早めにご自身の資産状況や将来の承継プランを把握し、対策のプロセスをしっかりと整備しておくことは、大切なご家族を守るための「防波堤」となります。少しでも気になる点や不安がある場合は、手遅れになる前に、信頼できる専門家へお早めにご相談ください。
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