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2024.03.21
引き継げる経営

相続対策は計画的に

相続対策は計画的に…

今月3月15日は2023年分の所得税確定申告や贈与税の申告期限でしたが、当社グループ税理士法人においても多くのお客さまをご支援させていただきました。

2023年分の確定申告や贈与税の申告の特徴としては、昨年春以降、上場企業の株価が上昇したことで例年よりも売却益が生じているお客さまが多く、あらためて昨年の株価上昇を実感しています。また、株価上昇は喜ばしいことですが、一方で財産が増えることで相続税の面では税負担が重くなるというご相談が多いのも特徴でした。

2024年からは相続税や贈与税で従来の取扱いでいくつか大きく変更されています。従来の認識でいると想定外の税金が発生する可能性もありますので、簡単にポイントを整理させていただきました。

 

(1)分譲マンションの評価方法の変更

タワーマンションの時価と相続税評価額のかい離を利用した相続税の節税対策が問題とされ、2024年以後はかい離幅が少なくなるような改正がおこなわれました。都心のタワーマンションだと1億円で購入しても相続税評価額が3分の1以下になることもあり、相続税対策としても、また、近年の不動産価格の上昇もあって投資としても人気がありましたが、2024年以降の相続や贈与については評価額が従来よりも高くなる可能性がありますので、過去にマンションを購入されている場合には改正後の評価がどうなるか確認する必要があります。

 

(2)生前贈与の加算期間の延長と相続時精算課税の110万円基礎控除の創設

昨年の税制改正において、相続開始前3年以内に被相続人から贈与があった場合に相続財産に足し戻して計算する制度(生前贈与加算制度)について、2024年以後の贈与については7年間足し戻されることになり、また、2024年以後は相続時精算課税を選択した場合も暦年課税のように年間110万円の控除が利用できるようになりました。これらの改正により贈与の際に暦年課税と相続時精算課税のどちらが有利かが従来の判断と異なる可能性がありますので、今後贈与される場合にどちらが有利になるか、あらためて検討する必要があります。

 

ちなみに、上場株式は日々の価格が公表されているため、贈与や売却をしようと思うタイミングで簡単に評価して税金を試算することができますが、非上場株式を評価するには原則として国税庁から発表される基礎データ(類似業種比準価額を計算するためのデータ、毎年6月頃に公表)が必要です。こちらは制度が変更されたわけではありませんが、本データが昨年より高くなる影響(結果的に非上場株式の評価額が高くなり、税負担が増加する)などが想定されますので、2024年に非上場株式の贈与や売買を検討される場合にはデータの公表時期を頭に入れながら実行することをオススメします。

 

日経平均も高水準で推移していますし、新NISAも関心を集めていますので、2024年も個人の上場株式に関する所得増加が想定されます。個人における上場株式の配当や売却損益の取り扱いは特定口座であれば何もせずに手続きが完了するケースも多いのですが、売却損が生じていたり外国税額控除の適用がある場合などでは「確定申告をしたほうが有利なケース」もあります。上述した贈与税の申告の方法(暦年課税・相続時精算課税)も2024年から変更されていますので、ご不明な点があればみらいコンサルティンググループの担当までお気軽にご相談ください。

 

<参考資料 国税庁>
「居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)」の評価が変わりました
令和6年分の贈与から贈与税・相続税の計算方法が変わります!

 

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