8tips社員が幸せな経営
「親」の存在感増す就職活動
中小企業が今すべきこととは
ある転職サービス会社の2023年度の調査によると、大学2、3年生の4人に1人が就活の企業選びに「親の意見を最重視する」と回答したそうです。
内定辞退を防ぐために、企業が保護者に対して自社への内定同意を得る「オヤカク(親の確認の意味)」という言葉も定着し始めています。
私たちの新卒採用活動のターゲットはもちろん高校生や大学生などですが、そのやり方はもっと工夫して取り組む必要がありそうです。
最終決定を左右する「親」の存在
今、新卒採用は売り手市場の傾向が強まっており、24年大卒の求人倍率は1.71倍(リクルート社調べ)となっています。高校生にいたっては、求人倍率3.01倍(厚生労働省調べ)で、バブル期を超える倍率です。企業の人事ご担当者は、あの手この手で学生さんの興味を惹きつけ、望む人材が入社を決めてくれるよう、採用サイトの充実や求人サイト等を活用したプロモーション、学校に出向いての会社説明、インターンシップなど、ターゲットの心を動かす採用活動に工夫を凝らしていることでしょう。その直接の相手は採用したい高校生や大学生で、入社する会社を選ぶのはもちろん彼らですが、その意思決定に「親」が大きく関わっているのが最近の見過ごせない傾向です。大学生の4人に1人が就職先を決める際に最も重要視したのが「親の意見」で、就活の「一番の相談相手が親」と答えました(2023年ベネッセキャリア社調べ)。また企業を対象にしたアンケート調査では「親の意向によって内定辞退を申し出てきた学生がいた」と答えた企業がおよそ半数にのぼっています(2019年ネオキャリア社調べ)。
今の学生にとって、自身の進路の選択に「親の意見」が大きな影響を及ぼすことは間違いなさそうです。
「知らない会社」に入社させたくない親
では、採用したいと望む人材の「親」に自社への就職を賛同してもらうために、企業は何をすべきなのでしょうか?「親」の目線に立って考えてみることが必要です。もしも自分の子どもから「この会社に入社したい」と相談を持ちかけられたら、私たちは何を思うでしょうか?その会社はブラック企業ではないだろうか、安定した生活ができるだろうか、成長を続けていく会社なのか…、親の心配は尽きないでしょう。そして、中小企業にとっては特に気になるデータがあります。2018年にマイナビがおこなった調査では、知名度の高い大企業への入社は62.2%の親が賛成し、名前を聞いたことのない中小企業への入社に賛成する親はわずか15.1%。つまり、「知らない会社」には就職させたくないという親が非常に多いということ。中小企業にとっては厳しい現実ですが、その会社の良いところも悪いところも全くイメージがつかないわけですから、仕方ないことといえるかもしれません。だからこそ、特に中小企業は「親を意識した採用活動」が重要になってくるのです。
親の心を動かす採用戦略へ
私たちが新卒ターゲットとする学生たちは、いわゆるZ世代。「デジタルネイティブ」と呼ばれ、小さい頃からスマートフォンなどのデジタル機器が身近にありデジタルを使いこなす世代です。また、「SDGsネイティブ」とも称されるように、社会貢献意識や環境に対する意識も強いといわれています。ということは、彼らを育ててきた親世代も、情報収集力があり、社会に対する意識が高い人たち、という見方もできます。
子どもに相談されたとき、親はまず自身のスマートフォンでその会社のサイトを探すかもしれません。サイトがスマホ対応(レスポンシブデザイン)になっていることは基本です。パソコン用デザインのサイトしかない場合、古臭く感じたり、親世代特有の事象で表示文字が小さくて読む気にもなれないかもしれません。経営者の顔が見えることも重要です。サイト上に、経営者の顔写真と大切にするパーパスやビジョンは掲載されているでしょうか?変容する世界の中で会社は何を目指し、そのためにはどんな経営資源を持っていてどのように活用し成長していくのか。経営者自らがわかりやすく語りかけることが大切です。
このように、サイト上で自社の強みや価値、サステナブルな取り組みなどが十分に提示されていることはもちろん大切ですが、ひとつのやり方として、「統合報告書」を作成し掲載することも効果的だと考えます。統合報告書とは、売上や資産などの財務情報だけではなく、企業の価値を活かしてどのように社会や環境に貢献していくのかをわかりやすくまとめたもので、元来は投資家向けに上場企業が発行し始めたものですが、近年では自社の持続可能性をステークホルダーに伝えるために中小企業や大学等でも発行が拡がっています。この報告書を読むと、企業が大切にしている価値観が明確にわかるので、学生たちも企業選びにおいて重要視しているようですが、親にとっても企業を理解する格好の材料となるでしょう。
さらに、学生と人事担当者との日々のやり取りも、学生は親に報告している可能性があります。そこに、学生への温かな配慮や自社を知ってもらうための丁寧な説明など好印象が続くと、親の気持ちも動きます。
今の学生たちの就職ニーズは多様化していると言われています。企業の規模や待遇など条件だけで選ぶのではなく、その企業が社会の課題解決にどのようにアプローチしているのかを考え、その価値観と自身の価値観を照らしあわせながら就活をしています。その姿を間近で見ている親もまた、子どもが選ぶ企業の価値観を知りたいと心から願っています。
「もしも自分がこの学生さんの親だったら」。そんな気持ちになって今一度自社の採用ツールや伝え方を見つめ直してみませんか?みらいバリュークリエイティブでは、自社の価値を深掘りする価値発掘プロジェクト®、採用サイトの制作プロデュース、統合報告書の作成支援などもおこなっています。お気軽にお問い合わせください。
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