8tips社員が幸せな経営
「将来価値」に注目した優秀な人財の採用と育成へ
経験採用からポテンシャル採用へ
従来よりの慢性的な人材不足の中で、多くの中小企業は採用難に見舞われており、特に即戦力となる人材は競争率が高く確保が困難であるため、「資質のある未経験者」にアプローチをかける、いわゆるポテンシャル採用が人材確保の有効な方法と考えられてきました。
さらに、昨今の変化の激しい時代を背景に、そもそも「現在価値」においての即戦力かどうかよりも、「将来価値」に注目する企業が増えてきています。「資質」のある有能な若手をいかに惹きつけ、成長を支援していくことで、「将来価値」を生み出す組織への成長や変革を加速させることが、とても大事になる、ということです。
仕事に人を合わせるのではなく、人に仕事を合わせるぐらい、優秀な人財が何よりも大事だといえる時代に近づいているように感じます。
ポテンシャル採用は、経験者よりも育成コストが本当にかかるのか
ごく短期間でみれば、もちろん経験者の方が立ち上がりが早いでしょう。ただ、どんな業務も今や変化や進化にさらされていることを考えれば、スタート地点の「経験値」の差よりも、個人間の「成長速度」の差の方がより重要なポイントになると考えます。変化を主体的に起こしていくような高度な業務を期待するという観点では、「成長」は単純に時間の長さに比例するものではありません。必要な資質がなければ、成長が止まってしまうのも早いものです。むしろ、スタート地点での「経験値」のアドバンテージは大したことはないかもしれません。
ポテンシャル採用のデメリットとして、経験者よりも育成コストがかかるといわれることがありますが、現代の業務において本当にそうでしょうか。疑ってみる必要があります。
「成長速度」の速い人財の共通の資質を意識する
職場の中で成長しやすい人の共通資質として、普段から次の3点を特に意識しています。
① 素直さ
・人の話(率直な意見や耳の痛い話も)を受け入れられる
・過去の成功・やり方にすがらない
・謙虚さがあり、勉強を欠かさない
・弱みを隠さない
・プライドが高くなく、誰とでもフラットな関係で接している
② 向上心
・純粋な自己成長・進歩に対する意欲を持っている
・目標につながる行動が、過去、現在、将来へと連続している
※過去や現在の実際の行動(再現性)をなくして、向上心があるとは言えない
※甘い夢を熱く語る事や、「やりたいこと」に固執する事ではない
③ 自己認知
・自己評価と他人からの評価がずれていない(自己評価が高すぎでも、低すぎでもない)
・常に自責の視点である
・自律している(利己的、協調性がない、感情が顔や態度にすぐ出るなど幼稚ではない)
※若いうちは偏りがあってもあとから変われるが、30~40代から変わることは難しい
優秀なポテンシャル人財は、採用の難易度よりも、入社後の取り扱いが重要
「将来価値」を期待して採用したポテンシャル人財は、基礎能力が高く、成長意欲や学習意欲が旺盛な状態で入社してきますので、組織全体として受け入れた時に期待ギャップは生じやすいと考えられます。
もっとも大事なことは、彼らに良い「経験の質」の機会を与えて、学習と成長を加速させることです。成長速度に重要なのは、「経験の量」ではなく「経験の質(密度)」です。例えば、業務経験10年の人がいて、同じような仕事を同じような人達と同じような方法で10年続けていたのなら、「経験の質(密度)」が10年分とはとてもいえないでしょう。留意しなければならないのは、優秀な人財に、従来の尺度に照らした杓子定規な対応をとらないことです。優秀な人財ほど現状に対して問題意識も持つでしょうし、率直に意見をいうことも多いと思います。そのような新人を従来型の上司や先輩が(悪意はなく)ナべブタで抑え込もうとすると、組織の中でも浮いたまま居心地が悪くなり、力も発揮できず、失望して職場を去るケースも多くあります。
優秀なポテンシャル人財を採用したのであれば、会社としては、出る杭を不要な組織圧力から守ってあげる、くらいの覚悟が必要です。もちろん、より良い「経験の質」を獲得させるために誰と仕事をさせるのかも大事になります。
優秀な人財をいかに採用して育成していくかは、今も昔も企業の共通の悩みだと思います。「将来価値」の高い人財とは自社にとって、どのようなものなのか、そのような人財を増やすためにどのような活動をしていかなければならないのか、改めて検討してみてはいかがでしょうか。
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