8tipsSDGsと経営
循環型経済への備えはできていますか?
ある日突然やってくる大きな災害、たとえば地震やパンデミックのような出来事は、ニュースや体験を通じて私たちに強いインパクトを与えます。
一方で、もっとやっかいなのは「気がつかないうちに、じわじわと」変わっていくことです。
「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」への移行もその一つです。
この変化は、一見すると目立たず静かですが、確実に広がっており、いずれ事業の足元にも影響してくるものです。
今までの「作って、売って、使って、捨てる」ビジネスの仕組み(これを「直線型経済」といいます)は、資源や環境に大きな負荷をかけてきました。
世界的には、限りある資源をできるだけ無駄なく、長く使い回す「循環型経済」へのシフトが進んでいます。これまでのやり方を続けていると、知らず知らずのうちに顧客や取引先から取り残されてしまうリスクもあります。
では、企業として今からどんな意識や備えが必要なのか、ポイントを3つにまとめました。
1. 売り切り型ではなく、「長く使ってもらう」仕組みに目を向ける
これまで多くの企業は、「たくさん作って、たくさん売る」ことで成長してきました。
でも今は、「売った後、どう活用されるか」「修理や再利用の仕組みをどう作るか」が問われるようになっています。
たとえば、あるメーカーでは、「長く使える機械」に加えて「修理・再利用サービス」を始めました。買った人が10年後もメンテナンスできる仕組みを整えたことで、リピートや紹介が増え、単なる“モノ売り”から“関係づくり”のビジネスに変わっていったのです。
このように、ただ製品を「売る」だけでなく、「長く使ってもらう」視点を取り入れることで、差別化やブランド力にもつながっていきます。
2. 法律や大手取引先の要望は、すでに“始まっている”と考える
「そうはいっても、うちはまだ関係ない」「大手企業だけでは」――
そう思いたくなる気持ちはよくわかります。ですが、変化は静かに、しかし確実に迫ってきています。
たとえば、大手メーカーと取引のある中小企業が、急に「環境配慮の取り組みについて報告してほしい」と言われた事例があります。背景には、取引先が国際的な規制に対応するため、取引先にも情報開示を求め始めている、という事情がありました。
一歩先を行く企業は、すでに「環境に配慮しています」と言える準備を始めています。「言われてから慌てる」のではなく、「いつ言われても大丈夫」な状態をつくっておくことが、将来に向けての大きな安心材料になるのではないでしょうか。
3. 社員の“意識と視点”を育てることが、未来の競争力になる
循環型経済に対応するには、商品や仕組みを変えるだけでは不十分です。
むしろ、もっと大事なのは「人を育てること」です。
たとえば、現場で廃材やロスが出るたびに「これはムダだな」「もっと別の使い道がないか?」と気づける社員がいれば、小さな改善が積み重なって、会社全体の価値につながっていきます。
また、営業担当が「今のお客さまは、環境のことも気にされているな」と感じ取れれば、提案の質も変わっていくでしょう。
こうした“気づく力”や“考える力”は、短期的な研修だけで身につくものではありません。
日々の業務の中で、「なぜこの取り組みが必要なのか」「うちの会社が目指す未来は何か」といった対話を積み重ねることが、結果として“循環型思考”を育てていく土壌になります。
社員が「環境対応=やらされ仕事」ではなく、「自分たちの仕事の質を高めるチャンス」だと捉えることができれば、会社の強みは確実に変わっていきます。
この「循環型経済」への流れは、ある日突然ドンと押し寄せるものではありません。
だからこそ、油断しやすい。ですが、気づいた時には、もう変化が進んでいた――ということになりかねません。
大切なのは、「まだ大丈夫」ではなく、「そろそろ準備しよう」という姿勢だと思います。
循環型経済は、決して“環境のためだけ”の話ではなく、企業の持続可能な成長にも直結するテーマです。
まず、小さな一歩から踏み出すために、必要であればぜひお気軽にお声がけください。みらいコンサルティンググループのメンバーが「壁打ち相手」をさせていただきます。
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