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2025.02.19
リスクに備える経営

「企業価値」を活かした新しい資金調達

「企業価値」を活かした新しい資金調達…

2024年6月に「事業性融資の推進等に関する法律」が成立し、2026年頃に「企業価値」を担保にした新たな融資手法の施行が予定されています。主なポイントとして、土地や建物などの「有形資産」だけでなく、決算書に表れない「無形資産」を含む「将来キャッシュフローと事業全体の価値」を担保とする「企業価値担保権」が創設されました。

 

「企業価値担保権」創設の背景・目的

従来の融資慣行は不動産担保や経営者保証に依存する傾向が強く、特に「有形資産」を持たない業種の企業やスタートアップ企業は資金調達が難しいという課題があります。

「企業価値担保権」の創設は、この課題を解決するひとつの資金調達手段として期待されますが、制度の整備を通して約10年前から金融機関が取り組んでいる「事業性融資」を後押しし、推進させたいという狙いもあるようです。

 

これから取り組むべきこと

企業が金融機関から融資を受ける際、特に重視されるのは「返済の確実性」と言えます。これまでは決算書(過去の実績)と担保価値が重視されていますが、今後は事業の将来性や競争力の源泉になるビジネスモデル、独自技術、ノウハウ、ブランド、顧客基盤、データ資産などの「無形資産」が評価の対象として重要性が高まることが想定されます。

一方で、コンサルティングの現場で経営者や幹部の方に「貴社の強み、提供価値はなんですか?」と質問させていただくと、主観的・感覚的な内容であったり、経営者と幹部間で認識がバラバラで統一されていないケースも見受けられます。

資金調達の選択肢を広げるために、これから取り組むべきこととして以下3点が重要であると考えます。

    事業全体の言語化・可視化

財務情報以外の「無形資産」を整理、言語化して、事業の全体像や価値創造ストーリーをシンプルに、分かり易く第三者へ伝えられるように準備しておくことが重要です。強みや提供価値は自社だけでは気付かないことも多いため、取引先へのインタビューや専門家の活用などにより客観的なデータ・事実を収集することで精度が高まります。

    継続的なコミュニケーション

日頃から金融機関と定期的に対話する機会をつくり、事業の進捗や課題を共有することで関係性を深めていくことが大切です。事業が上手くいっていないときこそ現状と今後の取り組みをしっかり共有することで、強固な信頼関係の構築に繋がると考えます。

    事業計画との連携

「無形資産」を活用してどのように売上、利益、キャッシュフローを伸ばしていくのかを具体化・数値化し、事業計画に落とし込むことが必要です。特に「無形資産」が事業の成長にどう貢献するかを説明することが重要です。

 

上記の取り組みは資金調達のためだけでなく、理念や事業に共感するステ-クホルダーを増やし、自社が持続的に成長するために重要な取り組みでもあります。また、採用活動にも不可欠な要素であると思います。まずは経営幹部間で自社の強みや提供価値について会話することからスタートしてみてはいかがでしょうか。

みらいコンサルティンググループでは、企業の価値発掘プログラム、企業診断(現状分析・課題整理)、事業計画策定に関するご支援をおこなっていますのでお気軽にご相談ください。

 

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