点のままでは、もう生き残れない。デジタルで紡ぐ、新しい「相互扶助」のかたち
“お互いさま”の時代は、もう一度やってくる
かつて、私たちの地域には「相互扶助」—つまり、お互いに助け合う精神が当たり前にありました。一本の線では弱いけれど、みんなで手を取り合って一枚の布(=面)のようになれば強くなれる。そんな共同体が、たしかに存在していました。
しかし、経済成長とともに社会は「個」を重視するようになり、私たちはいつしかバラバラの「点」として、それぞれが自分の利益を追い求める時代へと入っていきます。
その結果、地域のつながりは薄れ、人口減少や市場縮小という大きな課題の前で、個々の「点」の努力だけではどうにもならない壁に突き当たっています。
もう一度、私たちは手を取り合い、「面」としての強さを取り戻せないだろうか?
その問いへの答えこそが、デジタルの力を借りた新しい相互扶助、「デジタル協同体」なのです。
なぜ私たちは「点」になってしまったのか
人口が増え続け、経済が右肩上がりだった時代には、「点」の論理は有効でした。隣より少しでも秀でることを目指す「競争」が、社会全体の成長の原動力となっていたのです。この時代には、かつて地域を支えていた「面」としての助け合いは、古いものと見なされ、少しずつ解体されていきました。
しかし、時代は変わりました。
人口が減少し、市場が縮んでいく現代において、限られたパイを個々の「点」が奪い合う構図は、もはや地域の疲弊を招くだけです。一つの企業、一人の天才が頑張るだけでは、地域全体の衰退という大きな流れを押しとどめることはできません。
私たちは今、「点」として生き抜く時代の限界に直面している、そんな気がします。
再び「面」の時代へ。鍵は「デジタル協同体」
「点の時代」の次に来るもの。それは、再び「面」として手を取り合う時代です。
ただし、それは昔に戻ることではありません。かつての相互扶助を、現代のテクノロジーで進化させるのです。その鍵となるのが「デジタル協同体」という考え方です。
これまで、人と人との距離を遠ざけると思われがちだったデジタル技術が、今、新しいつながりを生み出すための最も強力なツールになっています。
たとえば、
- 地域の農家が共同ECサイトという「デジタルな面」の上で連携し、販路を拡大する。
- 商店街が共通アプリという「デジタルな面」の上で顧客情報を共有し、地域全体で顧客を呼び込む。
- 地域の製造業者が共同の受発注システムという「デジタルな面」の上で協力し、業界全体の生産性を高める。
これらはすべて、個々の「点」がデジタルという基盤の上でつながり、新しい「面」を形成している姿です。かつての相互扶助が、デジタルの力によって、より効率的で、より広範囲な「協同体」へと進化を遂げるのです。
新しい“お互いさま”のかたちを、地域と共に
かつての相互扶助という「面」の時代。
個別最適化を追い求めた「点」の時代。
そして私たちは今、その両方を経て、再び「面」で支え合う未来を目指す分岐点に立っています。
もちろん、この道のりは平坦ではありません。しかし、答えがないからこそ、地域と共に考え、汗をかくことに価値があります。私たちは、この「デジタル協同体」という新しい“お互いさま”のかたちを、地域に関わるすべての人々と共に紡いでいきたいと考えています。
デジタルと人のぬくもりを掛け合わせることで、バラバラだった「点」は再びつながり、未来を支える強靭な「面」となる。みらいコンサルティンググループではそう信じ、地道な活動を続けてまいります。
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