再注目の合弁形態 -「攻め」の姿勢で海外進出を

日本企業が「合弁」で海外に進出することが特に増えたのは、1990年代、特に中国に進出し始めた頃です。これは中国の経済政策と深く関係していました。
当時の中国は、経済を活性化させるための政策を進めていましたが、多くの産業で外国企業が単独で100%出資して会社を作ることを認めていませんでした。そのため、中国企業と一緒に「合弁会社」を作る必要があったのです。
法律で決められていただけではなく、政府とのつながりや、会社設立に必要な許可を取るためのノウハウを活用するという目的もありました。このような外国企業の規制は、中国だけでなく、ASEANの国々でも似たような政策が取られています。
規制緩和と独資進出への移行
その後、2000年代の初めに中国がWTO(世界貿易機関)に加盟したことをきっかけに、外国企業への規制が緩み、多くの産業で単独で会社を作ることが認められるようになりました。
さらに、「合弁」での経営には課題や失敗談も多く報告されるようになり、経営の自由度が高く、早く物事を決められ、技術が流出するリスクも低い単独での進出が、より魅力的な選択肢となっていきました。
なぜ今、再び合弁が注目されるのか?
しかし、昨今のように市場が複雑になり、世界的な競争が激しくなっているなかで、現地の企業と協力する「合弁」の価値が再び見直されています。
特に成長が著しい新興国市場では、もう自社だけで成功するのは簡単ではありません。多様化する現地のニーズを正確に捉え、スピーディーに事業を展開するには、その国の市場や商習慣をよく知るパートナーの存在が不可欠です。
現代の合弁が持つ「スピード」と「イノベーション」という魅力
現代における合弁の魅力は、単にリスクを分散するだけにとどまりません。最大の魅力は「スピード」と「イノベーション(新しい価値の創造)」です。
現地のパートナーが持つ販売ルートやブランド力、人材を活用することで、ゼロから事業を始めるよりも圧倒的に早く市場に入り込むことができます。
また、自社にはない革新的な技術やビジネスモデルを持つ現地のスタートアップ企業と組めば、新しい価値を生み出す、つまりオープンイノベーションが実現します。
昔の合弁が、規制を避けるといった「守り」の意味合いが強かったとすれば、現代の合弁は、お互いの強みを掛けあわせ、共に成長を目指す「攻め」の戦略的なパートナーシップへと進化しているのです。
パートナー選びの重要性
とはいえ、最適なパートナーを見つけるのは簡単ではありません。当社でもパートナー探しのご依頼を受けていますが、一番重要視しているのが「経営のビジョンや理念を共有すること」です。
国が違えば文化も商習慣も違うことは当たり前として、会社のトップ同士の信頼関係と、中長期的な経営の方針が一致していることは必要不可欠です。
それでも、100%成功するとは言い切れませんが、海外でのビジネスを成功させるための重要な選択肢になり得ると考えています。
私たちみらいコンサルティンググループは、そんな「挑戦するお客さま」と伴走しながら、一緒に成功を目指していきたいと思っています。お気軽にご相談ください。
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