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中国における「少子化・教育費」問題とは
中国の少子化問題
中国政府は2021年5月31日、これまでの産児制限を緩和し、夫婦1組につき3人まで子供を産むことができると発表しました。
これを受けて四川省の攀枝花市はいち早く優遇対策を打ち出しており、出産に関する入院費用、出産費用は全額免除、さらに2児以上の家庭には子供が3歳になるまで毎月1人当たり500元の育児手当を支給するとのことです。会社や工場内は託児施設や乳幼児の遊び場、授乳室の設置を進めることも盛り込みました。このような出産、育児支援制度はその後江西省や北京市でも導入されており、今後中国全土に広がる可能性があります。
中国は少子高齢化を防止のため2016年に大都市における「一人っ子政策」を廃止し、「二人っ子政策」に移行したものの、新生児の出生数は一時的に上昇しましたがその効果は限定的でした。
(図 2009年~2019年中国における出生率)
出典:世界銀行
https://data.worldbank.org/indicator/SP.DYN.CBRT.IN?end=2019&locations=CN&start=2009&view=chart
上記の図からも、2019年は過去10年の中でも出生率が最低となり、2020年には新生児の出生数がなんと前年から265万人減の1200万人まで落ち込んでいます。
一方、65歳以上の人口は年々増加しており、2020年には全体の13.5%を占めており、中国における少子高齢化、労働力不足は深刻な問題となっています。
では、なぜ出生数が急激に減少しているのでしょうか。その原因として以下3点が指摘されています。
・生活費、住宅価格の高騰
・育児、教育費の高騰
・若者の結婚離れ、または晩婚化
また、上記以外にも出産適齢期の人々はすでに自分自身が一人っ子世代であるため、夫婦1組で4人の親の面倒を見る必要があるので、子育てする余裕がない、ともいわれています。
中国の教育問題
出生数急減の要因のひとつである「育児、教育費の高騰」ですが、中国では6歳から18歳までの75%以上が放課後に何らかの個別学習指導を受けており、最低でも毎年5万元(約85万円)程度は必要で、大学受験となると18万元(約300万円)を超えるケースもあるようです。
中国政府は、ここにメスを入れました。学校の主要教科で営利目的の個別学習指導を全面的に禁止することにしたのです。
2021年7月24日「義務教育段階学生の宿題負担と校外学習機構負担の軽減に関する意見」つまり「双減(二つの軽減)」を発表しました。その内容は、塾などの学習機構の新設を許可せず、学校教科の個別学習指導を提供しているすべての機関は非営利団体として登録され、同事業の新たな免許は発行停止となりました。この影響で週明けの7月26日には、教育関連企業の株価が45%以上下落しています。
また、中小の学習機構は廃業や倒産したところもあり、学費の返還を巡る問題や、大量の失業者が社会問題化しています。
今回の規制がどれほど効果があるのか疑問の声も多く聞かれます。塾はなくなりましたが、受験競争がなくなることはないので、家庭教師など別の方法で受験対策をしなければならないようです。場合によっては教育費の負担が増える可能性もあります。
中国が少子化問題と教育問題を解決するためには、更に多くの対策が必要といえます。
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