8tipsリスクに備える経営
- 2022.09.21
- リスクに備える経営
ハラスメントの処方箋
2020年労働施策推進法が改正され2020年6月1日よりパワーハラスメント防止対策が義務化されました。(大企業は2020年6月1日、中小企業は2022年4月1日)
まず、令和2年度厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」の原文をご紹介します。
職場のハラスメントの実態調査報告
<ハラスメントの種類別>
過去3年間に各ハラスメントの相談があったと回答した企業の割合をみると、高い順に
パワハラ(48.2%)
セクハラ(29.8%)
顧客等からの著しい迷惑行為(19.5%)
妊娠・出産・育児休業等ハラスメント(5.2%)
介護休業等ハラスメント(1.4%)
就活等セクハラ(0.5%)
であった。 パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、顧客等か らの著しい迷惑行為、就活等セクハラについて、過去 3 年間の相談件数の推移を聞いたところ、セクハラ以外では「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」が最も高かった(「件数の増減は分からない」「把握していない」を除く)。顧客等からの著しい迷惑行為のみ「件数が増加している」の割合の方が「件数は減少している」より高かったが、それ以外では「件数が減少している」の割合の方が「増加している」より高かった。
このように、上記報告書によると、ハラスメントの中でもパワーハラスメントの割合が高く、また、これもある意味パワーハラスメントの一種である「顧客等からの著しい迷惑行為」の件数が増えていることも特徴ではないでしょうか。
パワハラはなぜなくならない?
これまでも、パワハラに起因する悲しい事件や問題が多数報道されてきていますが、まだまだ多く存在しているのはなぜでしょうか。いくつか理由を考えてみました。
●企業において、概念自体が浸透していない?
●知っていたとしても十分に理解がされていない?
●どこまでが指導で、どこからがハラスメントなのか、価値判断がわからない?
例えば、上司が部下からパワハラだといわれることを恐れるために、必要な指示や指導ができず、余計にストレスを抱えてしまってはいないでしょうか。また、反対に、部下が上司からの厳しい指導などをパワハラだと感じたことを伝えられずにいるのではないでしょうか。この様な状態が続けば、企業運営に支障が出てしまい、業績悪化にもつながりかねません。
パワハラがおこらない会社にするには
企業としては、相談窓口の設置、企業方針の明確化及び徹底、発生時の対応方法(早急な事実確認、被害者へのケア、加害者への処置、再発防止策)が重要で、これを怠ると会社側の責任を負わなくてはいけない可能性があるということを十分理解しておくことが必要ですし、こういった仕組みづくりをされている企業も多数存在すると思います。
ただ、それは「発生後の対策」に過ぎませんので、本質的には「パワーハラスメントが発生しない企業にする」ことだと考えます。
ここで、「パワー」ハラスメントについていま一度確認しておきたいのですが、厚生労働省によると、パワーハラスメントの概念は次の3つが挙げられており、この3つすべての要素が満たされるものが職場のパワーハラスメントとなります。
・優越的な地位に基づいて(優越的地位を背景に)行われるもの
・業務の適切な範囲を超えて行われるもの
・身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること
もちろん、これらの要素は職場だけではなく、職場以外の取引先、顧客に対しても当てはまるものでしょう。
このように、そもそもパワーハラスメントは「概念」や「どう感じるか」というところが判断基準となりますので、最終的には自分と相手との関係性によって変化するものなのです。であれば、「こういった概念がある」ことを知識として得るだけでは不十分で、それを実際の運用時にどう「感じるか」というすり合わせを定期的におこなうしかありません。
よく、「ハラスメント研修」をおこなう企業もありますが、一方的に伝えるだけではなく、ワークショップなどを通じて自分と他者との価値判断基準の違いなどを話し合う、といった機会にしてみてはいかがでしょうか。このような「体感型ハラスメント研修」のご支援もおこなっていますので、お気軽にご相談ください。
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