8tipsリスクに備える経営
- 2022.12.21
- リスクに備える経営
職場でのパワハラに関する内部通報、どう対応すればよいか?
パワハラに関する職場の意識の変化
2020年6月1日に「改正 労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)」が施行され、企業に対する職場のパワーハラスメント防止措置が義務化されました。中小企業については2022年3月31日まで努力義務となっていましたが、 2022年4月1日からは中小企業の事業主にもパワーハラスメント防止措置が義務化されています。研修や相談窓口設置など、パワハラの防止措置に関する企業からのご相談はとても多くなっています。
そんな中、実際に社内からパワハラに関する内部通報があった旨の相談も最近増えています。法改正や世の中での認知なども相まって、パワハラに関する職場内で向けられる意識が厳しいものに変わってきているように感じます。
パワハラに関する内部通報があった場合の会社がとるべき対応
例えば、次のような相談があった場合、会社としてどのように対応すればよいでしょうか。
従業員Aさんから「Bさんが職場内でひどいパワハラをしているので会社として適切に対応してほしい」と内部通報がありました。ただ、そのAさんは「自分が通報したという事実は、Bさんには絶対に知られないようにしてほしい」とも言っています。
通報された方が、自分が通報した事実をパワハラの行為者には知られないようにしてほしいとして、匿名扱いを希望することはよくあります。ただ、パワハラの内部通報を受けているのですから、会社としてはこれを放置することはもちろんできません。このような場合に、もし会社が匿名扱いの希望を無視したり、軽視して対応すると、通報者がパワハラ行為者から何かしらの報復を受けたり、通報者だけでなくそれを見ている周りの従業員からの信頼も損ねてしまい、職場環境全体が悪化する可能性もあるのは想像に難くないと思います。
一般的に、ハラスメントの疑いが発覚した時の本来の基本的な対応の流れは、次の通りです。
①事実関係の調査(通報者からの聞き取り→目撃者からの聞き取り→行為者からの聞き取り)
②調査の結果に基づく事実の確認とその評価
③事実をふまえて通報者及び行為者への対応方針の決定
④通報者への対応の実施(調査結果のフィードバックなど)
⑤行為者への対応の実施(行為者に対する懲戒処分、その他再発防止策など)
ただし、行為者に対して安易な方法で聞き取りをおこなえば、行為者が「誰が内部通報をしたのか」を認識ないし推測できてしまうという問題が発生する可能性もありますので、進め方に慎重な注意や配慮が必要になるのですが、例えば次のような対応はいかがでしょうか。
①まず行為者を限定せずに、この機会に全ての従業員に対して、ハラスメント防止に関する研修などの実施
②その研修の際に「職場環境について問題に感じていること」「具体的なパワハラの有無」などについてアンケート調査をおこなう
③同じ行為者からパワハラを受けている、または目撃している他の従業員の存在確認や内部通報を促し、職場の実態を把握した上で、行為者への聞き取りをおこなう
会社(経営陣)の徹底した姿勢を示すことが最も大切
職場のパワハラがある(かもしれない)状態を放置したり、その場しのぎの対応を繰り返している場合には、会社にとって次のような悪影響が考えられます。
・多くの従業員の心身の健康度の低下
・人材の流出
・職場の士気・組織力の低下
・訴訟などによる直接・間接的損失
・企業のイメージダウン(特に自社の採用環境への影響)
・隠蔽体質の醸成による事件・事故(会社やパワハラ行為をする上司へ適切な報告・情報が入ってこなくなる)
総じていい話にはなりません。個別の当事者への対応のみならず、上記のように大きな経営リスクにもつながり得るものですので、会社(経営陣)としては、組織の抱えている本質的な課題に目を向け、適切な認識、対応力を身に着けていく必要があることがおわかりいただけましたでしょうか。
ハラスメントに関する相談、研修実施などについてはお気軽にみらいコンサルティングの担当者にご連絡ください。
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