シャドーITの罠:経営者が知っておくべきリスクと対策

近年、デジタルツールの進化・普及にあわせて、企業のIT環境も急速に進化しており、多くの企業でさまざまなツールを導入していると思います。しかしながら、ITツールの積極利用による恩恵とは裏腹に、経営者の頭を悩ます「シャドーIT」というリスクが潜んでいます。シャドーITとは、会社やIT部門が承認していない、または管理していないITツールやクラウドサービスの利用を指します。具体的には、会社で許可されていない個人のデバイスを業務で利用したり、(利用料などの費用発生有無にかかわらず)現場主導で勝手にクラウドサービスやアプリケーションを導入することなどが挙げられます。
シャドーITによるリスク
①情報セキュリティに関する脅威
会社として使用・導入を承認していないツールやクラウドサービスは、会社で定めるセキュリティポリシーに従っていない可能性があるため、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まります。このようなリスクは顕在化したときの影響度は非常に大きく、事業活動のみならず企業存続にかかわることもありえます。
②コンプライアンス違反や業務効率の低下
品質が担保されていないツールでは法律や規制に違反する可能性があり、違反があった際に会社にとって大きな法的リスクになることがあります。
また、ツールの連携性が分断し情報が分散することで、チーム間の情報連携に手間が掛かったりコミュニケーションの手間が増えてしまったりするなど、業務遂行が非効率になることも懸念されます。
③会社による適切なコスト管理を阻害
経営者がITツール導入を承認する際の判断やコスト管理が困難になるという問題もあります。シャドーITが進行することで現場が使用しているツールの把握・管理が難しくなり、どのツールが業務に適しているのか、どの程度コストが発生しているのかを判断することが困難になります。このような状況では、経営者は適切な意思決定を行うことができず、結果として会社全体のIT戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。
会社が取るべき対応策とは?
シャドーITによるリスクを軽減するために、会社が取るべき対策はさまざまありますが、ここでは2つの策をご紹介します。
①導入時の評価プロセスを構築
現場部門が候補となるツールの情報を十分に収集したうえで導入申請し、会社(あるいはIT部門)が適切性を評価するプロセスを構築します。ツールといっても新規導入と既存分の追加購入ではリスク度合いに差があるため、評価プロセスを区別したうえで異なる稟議フローを設けるとよいでしょう。
また導入する際に、実際にツールの活用とサポートの旗振り役となる現場部門の責任者を明確に決めておくことも大切です。
②現場部門・責任者への教育
現場部門の教育機会を十分に設けることも重要です。たとえば、契約時には必要最適なライセンス数や現場業務にマッチする利用プランを購入するなどコスト意識を持たせることが必要です。
また現場部門の責任者に対し、セキュリティ遵守の責任や役割の認識を高め、ツール利用における情報セキュリティ管理や部門内でユーザーとなる従業員への落とし込みを推進していく対策も必要です。
シャドーITは企業にとって無視できないリスクですが、適切な対策を講じることでリスクを最小限に抑えることができます。今後の企業活動において、従業員の意識を高めながら会社公認のITツール環境を整備することが、企業の安全性と効率性を向上させる鍵となるでしょう。
みらいコンサルティンググループでは、現状のIT活用実態の把握、ITツールの選定方法など、会社それぞれによりそったご支援をしています。
何から手を付ければよいかわからないなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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