会社のお金を“3つの財布”で考え、事業永続を実現する「資産管理会社」という選択肢
「事業承継をどう進めればいいか」「会社の将来の成長資金をどう確保するか」 多くの経営者の方が、こうした悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
その解決策の一つとして、近年「資産管理会社」を活用するケースが増えています。 「資産管理会社」と聞くと、一部の富裕層が不動産や株式を管理するためのもの、というイメージがあるかもしれません。たしかに、そのような側面もありますし、「プライベートカンパニー」と呼ばれることもあります。
しかし、資産管理会社の本質は、単なる資産管理や節税ではありません。事業の永続的な成長という観点でこそ、その真価が発揮されるのです。 このコラムでは、会社の未来を守り、成長を加速させるために「資産管理会社」をどう活用すべきか、その視点についてお伝えします。
会社を永続させる「3つのキャッシュ」とは?
会社の永続的な成長を実現するためには、会社のお金(キャッシュ)を、その役割に応じて“3つの財布”に分けて考える意識が非常に重要です。
① 目先の事業運営に使うキャッシュ(運転資金)
- 時間軸: 短期
- 使い道: 日々の仕入れ、人件費、家賃など、既存事業の運営。
- 役 割: これがなければ事業が回りません。本業から将来のキャッシュを生み出すための「源泉」です。
② 将来の経営判断に使うキャッシュ(成長投資資金)
- 時間軸: 中長期
- 使い道: 工場の新設、M&Aによる企業買収、新規事業への投資など。
- 役 割: 自社のさらなる成長に向けた「攻め」のチャレンジに使うお金。将来の企業の力を生み出す「エンジン」となります。
③ オーナー一族のためのキャッシュ(安全弁・承継資金)
- 時間軸: 超長期
- 使い道: 事業永続に不可欠な「株式承継」にかかる資金。また、業績悪化時など、万が一の際に会社を支える資金。
- 役 割: 最後に頼りになるのはオーナー自身です。企業を支える「最後の砦」であり、非常時の「安全弁」としての役割があります。
なぜ「資産管理会社」が有効なのか?
問題は、特に「③オーナー一族のためのキャッシュ」をどうやって効率的に確保するか、です。
もし、オーナー個人でこの資金を確保しようとすると、事業会社からの役員報酬といった形で受け取ることになります。しかし、ご存じの通り、これらには最大で約55%という高い税率(所得税・住民税など)が課税されます。
そこで「資産管理会社」が役立ちます。 資産管理会社が事業会社の株主となり、配当として受け取ることで、全体として税負担を抑えながら将来必要な資金を会社(資産管理会社)に蓄積・確保できる可能性があるのです。さらに、金融商品や収益不動産にて資産を運用し効率的に資金を積み上げていくことも可能です。
これは単なる「節税」が目的ではありません。自社の財産を外部流出させず、効率よい形で「③のキャッシュ」としてプールし、財産管理・保全の観点で資産運用することで、未来のために活用する有効な「手段」なのです。
資産管理会社は「お金を貯める箱」ではなく、未来へつなぐ「司令塔」
地域の中堅・中小企業において、事業承継の課題は年々深刻さを増しています。
これからの時代、資産管理会社を「節税」や「相続対策」といった目先のことだけに活用するのではなく、「企業の成長・存続を支える財産を、本質的な目的のために管理保全する会社」として活用する視点が必要です。
「お金に色はついていない」とはよく言われることですが、役割を明確にわけることで、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、チャンスを逃さず次の世代へ価値を引き継ぐ力を高めていく。資産管理会社にはそんな「司令塔」の役割もあるのではないでしょうか。
ただし、事業承継税制の活用を検討中であるなど、お客さまの状況によっては、資産管理会社を活用しない方がよい場合もあります。 具体的な検討の際には、ぜひ一度、みらいコンサルティンググループまでご相談ください。
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