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『展示会』の新常態とは ~中国最大規模、広州交易会の現場から~

『展示会』の新常態とは ~中国最大規模、広州交易会の現場から~…

(写真=画像素材:PIXTA)

中国最大規模の展示商談会である第127回中国進出口商品交易会(広州交易会)が6月15日から24日までの日程で開催されました。

2020年度の広州交易会は、63年の歴史の中で、史上初『オンライン』によるバーチャル空間での開催となっており、世界最大規模の展示商談会というイベントを、最新テクノロジー導入によっていかに成功に導くか、各界から注目を浴びています。

広州交易会の公式サイトのhttps://www.cantonfair.org.cn/にアクセスすると、
「金属・工具」「建築資材」「化学製品」「エネルギー」「紡織服装」「服装」「靴」「医学・医療保健」等、16の商品区分と50の展示エリアに分類されていて、展示品か出展会社を検索することができるほか、個別ジャンルを指定することもできました。

 

また、バーチャル展示会ならではの傾向ですが、各社「動画」配信と「ライブコマース」(WEBにてリアルタイムに商談を実行)に力を入れており、視聴者は映像と音声で企業と商品の理解を深めることができます。

以下の画面では、6月18日11時現在で6,371ものライブコマースがリアルタイムで実演中継されていることがわかります。

 

今回の展示会がオンラインで開催されることになった直接の原因ともいえる新型コロナウイルスの世界的蔓延ですが、その関連商品ともいえる、「マスク生産ライン装置」や「酸素製造機」なども注目を集めています。

中国の家電大手であるHaier(ハイアール)も酸素発生器を展示しており、主要な市場は中国大陸、香港・澳門・台湾、日本・韓国、オーストラリア・ヨーロッパということで、ライブコマースでは男性スタッフが全世界のバイヤー向けに英語でプレゼンをおこなっています。


今回の展示会の注目点は、国内外から2.6万社の企業が出展、出展商品は180万件に達し、オンラインならではの24時間展示会を実現している点です。

いつものように会場に足を運ぶことができないグローバルバイヤー達のために、主催者側も「事前」にバーチャル展示会への参加方法・利用方法を説明するオンライントレーニングイベントを21カ国向けに開催していました。主催者としては、オンライン会場に来てもらうだけではなく、オンラインで商品の選定や商談をストレスなく、スムーズにおこなうことが重要だとわかっているからです。

 

もちろん、出展企業側も様々な工夫をしています。たとえば、この帽子会社の場合、工場の倉庫にライブ専用展示室を作り、中央の男性が中国語、画面右側の女性が日本語、画面左側の男性が英語で説明をしているのですが、画面左上の3541670はこのライブを見ている人々が押した「いいね」の数です。

 

また、このマットレスOEM製造会社の場合、工場ラインでの実況ライブ中継で、資材入荷、生産工程、包装、入庫、出荷などの製造過程を公開することにより、バイヤーへ訴求しています。

 

ところで、バイヤーと出展者の商談はどう進められるのでしょうか。

いくつかの方式があるのですが、上述したマットレスの会社は、ライブ画面の右下に連絡先の情報(名前、メールアドレス、電話番号とWechatアドレス)が常に表記されていて、連絡を待つスタイルです。また、下記のように、商品ページの右下に「発注意向」、「随時相談」、「商談予約」等の3つのボタンが作ってあり、クリックすることで、詳しい商談や交渉が可能になるものもあります。

もちろん、バイヤーは身分証明書、名刺等の個人と会社情報を事前登録して、ログインをする必要がありますので、誰でも商談に参加できるわけではありません。

ウィズコロナ・アフターコロナ時代の大型商談会は、今回の広州交易会のようにオンライン開催が主流となることが予想されます。もちろん、出展サイドのデジタルリテラシーやオンラインセールスプロモーション力という問題や、バイヤーサイドが実際に商品に触れることができない中、品質をどう担保するかなどの課題もありますが、今回の広州交易会の「バーチャル展示会」モデルは、伝統的な展示会業界にあって、次世代デジタル展示会へアップグレードするためのベンチマークとしてその成果に注目が集まっていると思います。

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