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2021.06.16
世界を駆ける経営

海外不正相談室 第2回:海外不正の発生傾向 ~サイバー不正の増加~

海外不正相談室 第2回:海外不正の発生傾向 ~サイバー不正の増加~…

コンプライアンス経営、リモート経営が問われていく中で、海外子会社の不正が経営に与えるインパクトは増大しています。
シリーズで、海外での不正についてお伝えします。今回は発生の傾向とサイバー不正の増加について解説します。

 

1.海外ではどんな不正が多いのか?

不正は、現金の横領や在庫の横流し、会社経費での私物の購入といった「資産の流用」、売上の水増しや簿外資産の確保、費用や損失の隠蔽といった「粉飾決算」、さらに贈収賄やキックバックの受領、利益相反取引の実施等の「汚職行為」、と大きく3つに区分することができます。

このうち海外での発生頻度が高いものは、海外不正調査の経験上、現金の横領や、公私混同による私的費用の計上、といった会社資産の流用が圧倒的に多く、ついで自己保身のための売上の架空計上、費用の隠蔽による会計上の不正報告となります

またコロナ禍による環境変化の中で、今後増加が予想される不正については、米国ACFE(公認不正検査士協会)が各国の関係者に対して実施した調査によると、「サイバー不正」を挙げる人が最も多いようです。ハッキングによる機密情報漏洩や、ランサムウェアによる脅迫、メールによる詐欺行為など、インターネット環境を使用したサイバー不正が今後世界的に、また加速度的に増加していくのではと考えられます。

(ACFE:Fraud in the Wake of COVID-19: Benchmarking Report. 2021/12)

2.海外現地駐在員と日本本社経営者との意識の相違

海外現地では、横領による不正の発生が最も多く、また今後はサイバー不正に注意が必要です。一方で、日本本社側では、海外で対処すべき最も重要な不正は「粉飾決済」としている企業が多いようです次いで、情報漏洩や、贈収賄となり、現地で多く発生している横領については優先順位があまり高くないケースも多いと考えられます。

ここで現地と日本側との間に意識のギャップが生じます

グループの内部監査を行う際には、事前にこのギャップを埋めておくことが重要ですギャップが生じたままである場合、その結果や期待する効果にも相違が生じてしまう可能性があります。場合によっては、不足する部分については、現地で独自に行う、または外部専門家に依頼することも有効です。

 

ニューノーマルといわれる環境下において、不正リスクの重要性や特徴にも変化が生じてきています。

不正を未然に防ぐ、また不正を発見するという点からは、まず現状生じている不正について、正しい認識を得ることが重要と言えます。

次回は、海外で生じている不正を未然に防ぐ方法について、具体的に解説したいと思います。

 

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