8tips最大効率の経営
M&Aを真の成功に導く「PMI」とは?
最近、M&Aという言葉は以前のネガティブな印象から脱し、企業経営戦略の手法として完全に定着したように思います。一方で、M&A後、心理的な反発から譲渡企業の従業員の退職や取引先との取引終了が相次ぎ、M&Aの効果が得られなかった、といった事例も発生しており、ご相談もいただいています。
M&Aの効果を得るためには、一般的にはPMI(Post Merger Integration/合併後の統合プロセス)が必要であるといわれています。「譲渡企業は譲受企業に合わせればよい」という単純な考えだけで「統合」をおこなうとうまくいかないことが多く、経営陣の体制、取引先や製品・サービス、ITシステムを含めた業務プロセス、組織・人事、企業風土などについて、「統合」に向けたプロセスを計画し、実行することが肝要です。
最近、上場企業が非上場企業をM&A(連結子会社化)した後の経理・会計の統合に関するご相談をいただきましたので、今回は「経理・会計の統合プロセス」について、注意すべきポイントをご紹介します。
ポイント① 会計方針・処理方法の整備
非上場企業は税務基準で経理処理をおこなっていることが多く、上場企業の基準に合わせる必要があります。たとえば、以下の内容が考えられます。
・現金主義から発生主義へ(特に人件費・経費関連の未払計上)
・収益認識基準
・棚卸資産の受払管理の実施、評価ルール
・原価計算
・リース会計
・時価のある有価証券の時価評価
・賞与引当金、退職給付引当金、資産除去債務
・税効果会計
ポイント② 決算の早期化(年次だけではなく月次も)
非上場企業は月次決算の確定に1ヵ月以上かかっていたり、年度決算は納税期限(決算日後2ヵ月後)までに確定させればよいと考えていることが多いのですが、上場企業の連結子会社となると、四半期ごとに決算をおこなう必要があり、各決算日の10日後または15日後には確定させる必要があります。
そのため、PMIでは、月次・年次決算に時間がかかっている原因を特定し業務プロセスの見直しをおこなうとともに、場合によっては人員の増員が必要となることもあります。
ポイント③ 内部統制の構築
一般的に非上場企業では財務経理業務を1名に任せていて、悪くいえば不正や処理ミスがいつでもおこりやすい状況になっていることが多いのではないでしょうか。
ただ、上場企業の連結子会社になれば、不正や処理ミスの防止、効率化を図るための社内体制を、上場企業の基準に合わせて新たに構築する必要があります。当事者にとってはまったく新しい概念に触れることになるため、心理的な負担からくる反発などを生まないためにも丁寧な対応が不可欠です。
みらいコンサルティンググループでは、経理・会計に限らず、ITシステムを含めた業務プロセス、組織・人事、企業風土などの「統合」や、M&Aに関する業務(アドバイザリー、デューディリジェンス、バリュエーションなど)について多くの企業さまをご支援させていただいております。企業の健全な成長のために尽力してまいりますので、お気軽にご相談ください。
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